冬の北三陸を走るこたつ列車
大沢橋梁を渡る三陸鉄道
弁当を食べながらのんびりと
冬の東北を象徴する列車の一つ、三陸鉄道の「こたつ列車」。久慈―宮古駅間を1日1往復し、暖かいこたつに入って冬の太平洋を眺めながら海の幸の弁当を味わえる旅が魅力だ。
外は寒いが、車内はポカポカ。全指定席のため事前予約が必要で、弁当も要予約。当日、久慈駅窓口で、乗車券、指定席券、弁当を受け取る。途中下車もできるが、今回はこたつ列車に乗ることが目的のため、弁当を食べながら終点の宮古駅へ向かう。
久慈駅を発車し、陸中野田駅を過ぎると列車は海へ近付いていく。4駅目の野田玉川駅のホームからは早くも、太平洋を望める。早速、弁当を開封。弁当は宮古行き列車限定で、大漁舟唄御膳、あわび弁当など4種ある。酒を飲みながら、連れと異なる弁当を分け合うのもいい。
絶景スポットで停車サービス
列車はさらに南下し、安家川橋梁や堀内駅など、沿線随一の車窓が広がる区間へ。堀内駅は朝の連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地となった場所でもある。
大沢橋梁も人気の絶景スポットだ。高さ30㍍あり、眼下に太平洋が広がる。列車はここでしばし停車し、ゆったり海を望める。山側に視線を送ると、赤い巨大なアーチが印象的な堀内大橋がある。堀内駅から徒歩10分ほどにあり、大沢橋梁を渡る列車を撮影できる人気スポットになっている。
なもみ登場に盛り上がる
大沢橋梁を過ぎると、長大なトンネルが次々に続く。すると突然、トンネル内で車内の照明が消え、登場するのが「なもみ」だ。三陸沿岸には秋田の「なまはげ」に似た風習があり、「悪い子はいねえが」と叫びながら暗い車内を歩き回る演出。一変、車内が明るくなるとなもみとの記念撮影タイムとなり、和やかなムードに。
あっという間の1時間40分、列車は宮古駅1番線に滑り込む。宮古では浄土ヶ浜などを観光し、宿で三陸の幸や地酒で身も心も温まるひと時を過ごしたい。
文・写真/冨手 淳