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【低山と温泉へ】六甲山最高峰に立ち、名湯・有馬温泉につかる 六甲山(1)<標高931m・歩行距離10km・歩行時間3時間25分>

場所
> 神戸市
【低山と温泉へ】六甲山最高峰に立ち、名湯・有馬温泉につかる 六甲山(1)<標高931m・歩行距離10km・歩行時間3時間25分>

六甲山最高峰からは、360度の景観が満喫できる。北側は有馬や三田(さんだ)、東側は西宮なども一望のもと(写真/ピクスタ)

東西約30キロにわたり屏風のようにそびえる六甲山地

神戸市西部から宝塚市まで東西約30キロにわたり屏風(びょうぶ)のようにそびえる六甲山地は、六甲連山とも呼ばれ、明治時代には居留外国人により登山が盛んに行われた。現在は山麓部に200万人以上が住む〝都市山(としやま)〟で、気軽に登山やハイキングを楽しむ人も多い。今回、私も六甲山地の最高峰である六甲山登山に挑戦することにした。初心者なので無理がないよう麓の芦屋川駅からではなく、標高約460メートル地点にある東(ひがし)お多福山(たふくやま)登山口をスタートに選んだ。

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芦屋川駅前の広場にはハイカーの姿も多い

登山口は阪急神戸線芦屋川駅からバスで13分、さらに歩いて約10分の場所にある。ここから山道になり、ひんやりした清涼な風、鳥の鳴き声、葉擦(はず)れの音が心地よい。少し前まで街中にいたのがうそのようだ。

林の中の緩やかな上り坂は、10分ほど歩くと急な山道になる。初心者で運動不足の私は、足元に注意を払うのに精一杯で、息もすぐに上がった。しかし、小休憩に足を止めて周りを見ると、雑木林の緑に包まれた非日常の世界。日々の忙(せわ)しなさから解放されるようで清々(すがすが)しかった。

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さまざまな登山ルートを楽しめるのも六甲山の魅力

山道は木の根や大小の石などで歩きにくい場所がいくつかあったが、大きめの石はよけられていたり、道に迷わないように時折木々に道しるべが掲げられていたり、ボランティアを筆頭に山を愛する地元の人々の心遣いに背中を押された。登山口から約30分、急に草原となり、周囲の視界も開け、標高697メートルの東お多福山の山頂に到着。南側に神戸や芦屋の市街地や海が見えた。

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東お多福山の山頂の草原から神戸・芦屋方面を眺める

山頂はかつて80ヘクタール以上のススキ草原だった場所。ススキを刈り取って屋根の茅(かや)を得ていたが、生活様式の変化と共に縮小した。草原生植物の種類激減に危機を感じた地元のボランティアが、2007年からススキ草原復活の活動を続けているそうだ。歴史や人との関わりを知ると、山頂の景色がさらに愛しく感じられた。

文/児島奈美 写真/宮川 透

【低山と温泉へ】六甲山最高峰に立ち、名湯・有馬温泉につかる 六甲山(2)<標高931m・歩行距離10km・歩行時間3時間25分>へ続く(7/10公開)


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【登山データ】

■交通[鉄道]阪急神戸線芦屋川駅からバス13分、東おたふく山登山口下車徒歩10分[ 車]中国道西宮北ICから芦有ドライブウェイ経由17キロ。芦有ドライブウェイ株式会社隣接の有料駐車場(平日のみ、9時~17時に利用可)から徒歩22分で東お多福山登山口
■問い合わせ/TEL:080-7049-5867(トレイルステーション神戸/火・水曜休〈12月〜2月は月〜木曜休〉)

アドバイス

阪急神戸線芦屋川駅から有馬温泉まで、一軒茶屋付近にしかトイレや自動販売機がないため注意。また、健脚なら徒歩で最高峰を目指すロックガーデン・風吹岩経由もおすすめ。5月25日開催の「あしや山まつり」では奥池等へのハイクも予定。

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年6月号)
(Web掲載:2025年7月9日)

Writer

児島奈美 さん

神戸生まれ。学生時代にバイクで北海道、九州、信州を巡って旅に目覚め、約40か国渡航。1か月のキャンプ旅でも太って帰ってくる食いしん坊で、現在は、旅・グルメ・人物インタビューを中心に、ガイドブックや雑誌、Webなどの制作に携わる。「旅行読売」ではルポがメイン。鉄子や歴女の道も着々と歩む。

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