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「富士回遊」で河口湖へ

場所
「富士回遊」で河口湖へ

三つ峠駅-寿駅間を走る富士回遊(写真/伊藤岳志)

富士山信仰の道へ

富士山に向かって走る特急「富士回遊」が運行を始めたのは2019年。新宿駅から河口湖駅まで直通で、わずか2時間弱で着く。渋滞の心配もいらない。一度乗ってみたいと思っていた。

終点から河口湖までは徒歩10分足らず。ロープウェイの展望台や湖越しから、さまざまな富士山の姿を眺めるのもいいだろう。さっそく出かけることにした。

富士回遊は、新宿―大月駅間は松本方面に向かう特急あずさ・かいじと併結して走る。大月駅で切り離され、富士急行線に入ると、いきなり車窓左手に富士山が現われた。雪化粧した頂上が真っ青な空にくっきり浮かび上がる。列車がくねくねと進むにつれ、右に左に見え隠れしながら、だんだん大きくなっていく。

まずは、終点の二つ手前の富士山駅で途中下車して、江戸時代に富士山信仰の人々が歩いた道のりを少しだけ辿ることにした。その美しさだけでなく、噴火を繰り返す神秘的な山容に、人々は畏敬の念を抱き、富士山を崇めた。

富士山駅から5分ほど歩くと、金鳥居がある。この鳥居が俗界と富士山の信仰世界を分かつ境界とされたという。鳥居の中に納まる富士山は荘厳な美しさだ。 

鳥居をくぐり、富士山に向かってゆるい坂道を上り30分ほど歩くと、北口本宮冨士浅間神社がある。富士山遥拝の地として建立された神社で、富士山吉田口登山道の起点となっている。拝殿の前には、樹齢約1000年の大木「冨士太郎杉」がそびえていた。

浅間神社前から河口湖駅までは路線バスが走っている。ほうとう不動 河口湖駅前店で腹ごしらえ。アツアツのほうとうが冷えた体にしみる。特製のみそに煮くずれしたカボチャの甘みが加わり、たまらない。ほうとうは1種のみ。自家製の麵がなくなれば閉店となる。

北口本宮冨士浅間神社
北口本宮冨士浅間神社
ほうとう不動の「不動ほうとう」1100円。河口湖周辺に4店舗ある
ほうとう不動の「不動ほうとう」1100円。河口湖周辺に4店舗ある

湖畔巡りには周遊バスが便利

~河口湖~富士山パノラマロープウェイは河口湖駅から徒歩10分ほど。麓の河口湖畔駅から河口湖を見下ろしながら、2分20秒で山頂の富士見台駅に着く。展望台に上がり、息をのんだ。富士山と裾野の街が眼下に広がっている。空気は冷たいが、息をのむ景色とはこのこと。しばし絶句した。

河口湖を巡るなら、河口湖周遊バスを利用すると便利だ。湖の周りを走るので、気に入った所で降りて周辺を歩いてもいい。 

湖山亭うぶや前バス停近く、河口湖大橋北岸の産屋ヶ崎からは湖越しの富士山が望める。キラキラ光る湖面と富士山のコントラストがまたいい。天候に恵まれれば、湖に映る〝逆さ富士〟も見える。

~河口湖~富士山パノラマロープウェイの山頂、展望台からの眺め
~河口湖~富士山パノラマロープウェイの山頂、展望台からの眺め

オルゴールの音色に癒やされて

もう1か所、行ってみたい場所があった。「河口湖 音楽と森の美術館」だ。ヨーロッパを思わせる庭園の向こうには、富士山の頂が顔を出し、別世界にいるような気分になる。オルガンホールやコンサートホールでオルゴールや自動演奏楽器の演奏(解説付き)も1日数回行われる。自動演奏楽器は音楽に癒やしを求めたヨーロッパの王侯貴族たちの求めで開発されたもの。オーケストラ演奏を行う装置もある。古典的なやさしい音色に心が和んだ。

河口湖では毎年恒例の「河口湖・冬花火」を行っている(2022年は延期)。1泊して夜は花火と夜景、朝は澄んだ空気の中、静かにたたずむ富士山を眺めれば、ぜいたくな旅になるはすだ。

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江

河口湖 音楽と森の美術館の庭園内には自動演奏楽器のコンサートホールも
河口湖 音楽と森の美術館の庭園内には自動演奏楽器のコンサートホールも

<問い合わせ>

ほうとう不動 TEL:0555-72-5560

~河口湖~富士山パノラマロープウェイTEL:0555-72-0363 

河口湖 音楽と森の美術館 TEL:0555-20-4111

富士急行 TEL:0555-73-8181

(出典「旅行読売」2022年1月号)

(ウェブ掲載2022年2月4日)


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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