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小樽の都市型観光ホテル

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> 小樽市
小樽の都市型観光ホテル

郷に入っては郷に従う。鱗友朝市のお店の人が勧めるままに素材を載せてもらい、海の幸を存分に味わおう

歴史的建造物のホテルへ

金曜日、仕事を終えて羽田空港へ直行して北海道へ飛んだ。いつもなら札幌に宿をとるところだが、今回の旅の拠点は小樽。2022年1月7日にオープンしたばかりのホテル「OMO5小樽 by 星野リゾート(以下、OMO5小樽)」がお目当てだ。

小樽は江戸期にニシン漁で栄え、明治の北海道開拓を支える港湾として発展。昭和初期には北海道経済の中核を担った。中でも金融機関が軒を連ねた色内地区は「北のウォール街」と呼ばれ、繁栄を極めたという。現存する建物の多くが小樽市の歴史的建造物に指定されており、往時の面影を今に伝えている。

そんな色内地区にオープンしたOMO5小樽は、1933年に建てられた小樽市指定歴史的建造物「旧小樽商工会議所」をリノベーションした南館と、新たに建築された北館からなる。フロントがある北館のラウンジには旧会議所時代の家具や備品がレイアウトされ、レトロモダンな雰囲気。手巻きオルゴールの貸し出しサービスがあるのも小樽らしい演出だ。

チェックインを済ませて連絡通路から南館へ移動した途端、昭和初期にタイムスリップしたかのよう。重厚なドアや石造りの階段、高い窓の開放的な空間……。いにしえの金融マンたちがタイプライターをたたく音や書類をめくる音が聞こえるような気がした。

新旧二つの建物からなるOMO5小樽 by 星野リゾート
新旧二つの建物からなるOMO5小樽 by 星野リゾート
客室はツイン、スーペリア、トリプルなど8タイプ、全92室
客室はツイン、スーペリア、トリプルなど8タイプ、全92室

港町の美味と人情がてんこ盛り

まだ外が暗い早朝5時。事前予約していた「鱗友朝市で、勝手にお節介丼ツアー」に参加するため、眠い目をこすりながらフロントへ向かった。このツアーはOMO5小樽が主催し、宿から徒歩圏にある地元の市場「鱗友朝市」で海鮮丼を楽しむというもの。夜明け前の小樽の市場で新鮮な魚介類をほおばるなんて、札幌に宿泊したら決して味わえない体験だ。

案内役は「ご近所ガイドOMOレンジャー」。ホテルだけでなく街そのものを楽しむための情報やサービスを提供してくれる頼もしいスタッフだ。小樽の歴史や近隣の見どころ、穴場の撮影スポットなどを聞きながら歩いていると、ひとり旅なのに友達と旅しているような楽しい気分になってくる。

鱗友朝市は朝4時から地元客でにぎわうという。カレイにカスベ、ハッカク、ニシン……。ピカピカに光り輝く魚体を見れば、生きの良さは一目瞭然。ああ、早く食べてみたい!

そう思った矢先、OMOレンジャーからご飯の入った丼を手渡された。「さあ、行ってみましょう」と促され、地元客に混じって歩き出す。威勢の良い呼び込みの声に足を止めると「うまいよ! 食べてみな」と、丼の上にエビが丸ごと1尾載せられた。驚く間もなく右から左から、どんどんネタが載せられていく。これぞツアーのメインイベント、自分でネタを選ぶ勝手丼ならぬ、市場の人々がおすすめのネタを載せてくれる「お節介丼」だ。カニ、ホタテ、イクラ、そして本州ではお目にかかれないホッケの刺し身まで! 鮮度抜群の海の幸と人情たっぷりのもてなしが、お腹と心に染み渡った。

市場の皆さんの協力により完成した「お節介丼」
市場の皆さんの協力により完成した「お節介丼」

目覚めの街・小樽の歩みをたどる

ホテルへの帰路、すっかり夜が明けた色内大通りを歩くと、歴史が息づく街並みに改めて目を奪われる。昔ながらの石造倉庫群や木造建築の旧商店、威風堂々とした旧銀行の数々。北の栄華はまさにここで目覚め、発展を遂げたのだ。そして今、歴史的建造物の多くが観光施設や宿泊施設、まちづくり拠点として再生・活用され、新たな目覚めの時を迎えている。

歴史的建造物ガイドマップもあるので、今日は小樽の歴史をたどってみよう。とはいえ歴史的建造物は80軒以上あるし、定番の小樽運河にも行きたいし、回りきれそうにない。遠からず小樽を再訪することになりそうだ。

文/佐々木美和 写真/川村 勲

小樽運河
小樽運河

<問い合わせ>

OMO5小樽 by 星野リゾート

TEL:0570-073-022

 

(出典「旅行読売」2022年3月号)

(ウェブ掲載2022年3月6日)


Writer

たびよみ編集部 さん

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