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【鉄印帳の旅】松浦鉄道

場所
【鉄印帳の旅】松浦鉄道

陸続きの普通鉄道の駅として日本最西端のたびら平戸口駅は、1600年代初頭に外国との貿易港として栄えた平戸島の対岸にある。松浦鉄道の鉄印がもらえる駅と平戸島の歴史探訪を目的に、佐世保駅から旅に出た。

 

旬鮮館
平戸市漁協が直営する旬鮮館

吉井駅までの区間は炭鉱地帯として栄え、前身である旧佐世保軽便鉄道(後に佐世保鉄道に改名)の支線がいくつもあった。往時の名残で広い構内を持つ左石駅を過ぎ、かつての石炭積み出し港脇の相浦駅に近づくと、車窓から佐々浦が見えた。その後、佐々川や江迎川に沿って内陸部を走り、江迎鹿町駅を過ぎたあたりで江迎湾を望む。沿線最長の田代トンネルを抜けると、ほどなくたびら平戸口駅に到着した。

 

平戸城
1962年に復元された平戸城

駅前から路線バスに乗り、平戸大橋を渡って平戸島へ。終点の平戸桟橋バス停近くの旬鮮館で長崎刺身盛定食(800円)を味わう。

続いて平戸オランダ商館へ。朱印船貿易で栄えた当時を彷彿させる美しい復元建築を見学し、オランダ塀を通り抜け港を眺めると、対岸の丘の上に平戸城が聳える。

平戸瀬戸に突き出た地に復元された天守閣に登ると、眼下には紺碧の海と平戸の町が広がっていた。

 

松浦鉄道の鉄印
松浦鉄道の鉄印

翌日、駅に戻り鉄印をもらう。揮毫は沿線の県立高校などで講師を務める書家の福嶋千波さんが、イラストは松浦鉄道全駅の画集の作者木下央子さんが手がけた。「この駅まで来なくては味わえない達成感をぜひ味わってほしい」と話すのは、駅務係の高橋健二さん。構内にある鉄道博物館の展示物についても熱く語ってくれた。 

最西端の地で触れた異文化と遠くまで旅してきたという達成感を胸に駅を後にした。


鉄印帳の販売・鉄印の記帳は佐世保駅・たびら平戸口駅窓口にて、9時~18時・無休
鉄印帳2200円/鉄印の記帳料300円(乗車券の提示が必要)
TEL:0956-25-2229(佐世保駅)

(2022年「旅行読売2月号」より)

(WEB掲載:2022年2月28日)





Writer

越信行 さん

神奈川県生まれ。全国の駅を撮り歩く駅旅写真家。月刊旅行読売で「駅舎のある風景」を連載中。著書に「生涯一度は行きたい春夏秋冬の絶景駅100選」(山と溪谷社)など

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