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器のふるさとへ 壺屋焼(つぼややき)

場所
> 那覇市
器のふるさとへ 壺屋焼(つぼややき)

土も釉薬(ゆうやく)も沖縄の自然素材から作られ、実用はもとよりインテリアとしても映える

大陸の文化も融合した琉球王朝の流れをくむ焼き物

縁に向かってゆったりと広がるマカイ(碗わん)や平皿に、のびやかな筆で描かれる唐草模様や点打ち。コバルト釉(ゆう)、飴釉、緑釉などの組み合わせは沖縄の自然の色を思わせる。一般に「やちむん」と呼ばれる沖縄の焼き物は那覇市の壺屋と本島中部の読よ み谷た ん村を中心に沖縄各地で作られている。

古くは瓦の製造に始まり、琉球王朝時代に各地の窯場が壺屋に集められて以降、壺屋でさまざまな生活雑器が作られるようになった。伝統的な壺屋焼は焼締の荒焼(アラヤチ)と釉薬を施す上焼(ジョーヤチ)があり、携帯用の酒入れである抱瓶(ダチビン)や酒器のカラカラ、遺骨を納める厨子など、大陸の文化が融合した沖縄らしい独特の造形が特徴的だ。

国際通りから続くアーケード街を抜けると石畳の道が現れる。「壺屋やちむん通り」と名付けられた壺屋焼の中心地で、立ち並ぶ陶器店の間に古い石垣や登り窯も残る。伝統的な器から現代的な作品までそろっており、気に入る一品が見つかるだろう。繁華街から徒歩圏内でもあり、那覇に行くたびに何度も通いたくなる焼き物の里だ。

沖縄の焼き物と生活の歴史が分 かる那覇市立壺屋焼物博物館

【データ】

交通:沖縄都市モノレール(ゆいレール)牧志駅下車
問い合わせ:那覇市観光協会 TEL:098-862-1442 /那覇市立壺屋焼物博物館 TEL:098-862-3761

(旅行読売2022年1月号掲載)


Writer

春日明子 さん

1979年生まれ、神奈川県出身。会社員時代に釣りに目覚め、いつの間にか釣り新聞の編集者となる。編集プロダクションにて旅行雑誌やコーヒー専門誌、機内誌を中心に編集・執筆活動を続けたのち、鮭釣りに訪れた北海道で人生の伴侶を釣り上げ、2016年に別海町へ移住。酪農地帯の真ん中で原稿を書く。

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