駅舎のある風景 大木駅【松浦鉄道西九州線】
陶磁器の里を走る1両列車、無人ホームから山並み望む
九州西端を走る松浦鉄道に乗った。有田焼で有名な有田駅を出発した列車は、伊万里(いまり)焼の里として知られる伊万里駅を目指し、有田川に沿って進む。
ほどなくして築堤上の大木(おおぎ)駅に到着。平成時代に開業した新駅が多い松浦鉄道にあって、ここは前身である旧国鉄松浦線時代の1960年開業。レールを骨組みに使った土台の上に、小さな待合室とホームがあり、北松浦半島の最高峰、国見山のある佐賀・長崎県境の稜線を望む。周辺ではムラサキハナナなどの春の花が咲き、訪れる人を迎えてくれる。
駅から北へ歩くと九州自然歩道があり、そのすぐ脇に当地を治めた松浦党有田氏の城跡、唐船山(とうせんざん)が見えてくる。山の北側斜面にある山田神社ではシャクナゲが咲き、辺り一帯を華やかな彩りで包み込んでいた。
文・写真/越信行
旧国鉄松浦線は1936年に佐世保鉄道を国有化。1988年に松浦鉄道に転換。大木駅は有田駅から普通列車で11分
(出典:「旅行読売」2020年5月号)
(WEB掲載:2022年5月16日)