駅舎のある風景 岳南原田駅【岳南電車岳南線】
プラントの照明が輝く工場夜景の前にたたずむ
日本夜景遺産に認定されている岳南電車へ出かけた。
古くは東海道の宿場町として栄え、現在は製紙業が盛んな静岡県富士市の吉原駅から1両編成の電車に乗車。ホーム脇の建物の壁一面に絡まるツタが目を引く本吉原駅を過ぎると、ほどなく周辺に工場のライトが灯る岳南原田(がくなんはらだ)駅に到着した。
かつての貨物線脇には工場夜景をバックに昭和レトロな雰囲気の平屋建ての駅舎が立ち、雨に濡れた路面に光を映していた。ここから一つ先の比奈(ひな)駅との間は、日本製紙富士工場敷地内のパイプラインの間を進む。照明に浮かび上がる鉄塔の群は、まるでSF映画のワンシーンさながら。
日本の製造業の一端を担ってきた街の小さな鉄道は、工場とともにこれからも輝き続けることだろう。
文・写真/越信行
1949年に前身の岳南鉄道、その2年後に岳南原田駅が開業。2013年に岳南電車設立。岳南原田駅は吉原駅から普通で10分
(出典:「旅行読売」2020年8月号)
(WEB掲載:2022年7月4日)