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【ロープウェイで夏絶景へ】谷川岳ロープウェイ

場所
> みなかみ町
【ロープウェイで夏絶景へ】谷川岳ロープウェイ

雪をかぶった岩山が目の前に

「雪をかぶった岩山は、日本じゃないみたいにきれいだよ」

山好きの友人が、谷川岳をこう評するのを聞いたことがある。いつか行きたいと思いながらこれまで実現しなかったのは、こんなにアクセスがいいとは思っていなかったからだ。

谷川岳ロープウェイの山麓、標高746メートルの土合口(どあいぐち)駅まで、上越新幹線上毛高原駅からバスで50分ほど。東京都心から2時間ちょっとで山麓に到着する。日帰りでも十分に山の空気を味わえるのだ。

谷底がはるか遠くに見え、迫力満点

土合口駅から標高1319メートルの天神平駅までは約15分。ロープウェイは尾根と尾根の間を抜け、ゆっくりと緑の中を進む。山肌のところどころに雪が残り、谷川がはるか下に細く見える。

谷川岳ロープウェイは、ゴンドラの幅より広い2本のロープでゴンドラを吊り上げるフニテルという方式なので、ほとんど揺れも感じない。まるで飛行船で遊覧飛行をしているようだ。

天神峠ペアリフト

ロープウェイを降り、天神峠ペアリフトに乗り換えて約7分で、標高1500メートルの天神峠駅。展望台に上って辺りを見渡せば、谷川連峰から武尊(ほたか)山、赤城山と、錚々(そうそう)たる山々が連なっている。

間近にそびえ立つ谷川岳の雄姿は、峻厳(しゅんげん)といっていい姿だった。

「谷川岳の森林限界は1600メートルなので、それより上に大きな樹木は生えません。2000メートルに満たないのに、日本アルプスのような急峻な山並みが見られるんです」

案内してくれた谷川岳ロープウェイ広報の大塚弥生さんは、こう解説する。

標高1500メートルのビューポイント

地質に加え気候的な特徴もあるという。太平洋側と日本海側の雲が谷川岳山頂でぶつかるので、標高の割に大量の雪が降る。そうしたさまざまな条件が重なって、岩山と雪の美しいコントラストが見られるわけだ。

絶景だけではない。この大量の雪は解けてミネラル豊富な地中に染み込むので、湧き水がおいしい。「谷川岳のお水でつくった手づくりコーヒーゼリー」は、ロープウェイの天神平駅すぐのレストラン、「ビューテラスてんじん」の人気メニューだという。

ビューテラスてんじんのコーヒーゼリー

心地良く響くウグイスのさえずりを聞きながら、澄んだ空気を思い切り吸う。

「夏でも気温は25度くらいと涼しいんです。湿気もないので、カラッとした風が吹いて気持ちがいいですよ」と大塚さん。

夏はリフト乗り場のある天神平まで、20分ほどで歩いて下りることもできる。途中、ニッコウキスゲやシラネアオイなどの群生地も点在。高山植物を眺めながら、散策するのもいいだろう。

水上温泉で豊かな自然を実感

上毛高原までのバスは湯檜曽(ゆびそ)温泉、うのせ温泉、水上温泉と温泉地にも停車する。1泊して温泉も楽しみたいと、水上温泉の「みなかみの自然を楽しむお宿 MICASA(ミカサ)」に部屋をとった。純和風旅館をリニューアルした全12室のこぢんまりした宿だ。利根川に面した広縁付きの部屋でぼんやりする。客室でも露天風呂付きの大浴場でも、利根川のせせらぎに包まれ、のどかな時間が流れる。

MICASAの大浴場「山の湯」
MICASAの夕食。自家製の「刺し身こんにゃく」は絶品

温泉街を歩いていたら、クラフトビールのブルワリーを見つけた。「OCTONE BREWING」(オクトワンブルーイング)は、地元出身のご主人がUターンして始めた小さな醸造所。群馬県北端のみなかみ町は利根川の最上流に位置し、奥利根とも呼ばれる。〝OCTONE〟にはそんな意味も込められているという。併設のタップルームでは、みなかみの水と素材にこだわって手作りされた希少な生ビールを味わえる。

オクトネ・エール グラス
諏訪峡の入り口にかかる笹笛橋から谷川岳を望む

翌朝、利根川の流れが造り出した渓谷、諏訪峡まで歩いた。途中立ち寄った和菓子店丸須製菓には「仙ノ倉万太郎」というまんじゅうがある。谷川連峰の二つの山の名からとったものだ。谷川岳と利根川と……、みなかみ町の豊かな自然の恵みを満喫した旅になった。

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江


谷川岳ロープウェイ

全長(傾斜長):2400メートル 高低差:573メートル 最大勾配:25度

最高運転速度:秒速6メートル 運行開始:2005年(開業は1960年) 所要時間:15分 

交通:上越新幹線上毛高原駅から谷川岳ロープウェイ行きバス50分、谷川岳ロープウェイ駅下車すぐ/関越道水上ICから国道291号経由15㌔(駐車場500円)

料金:片道1250円、往復2100円

営業:8時~17時(土・日曜、祝日は7時~)/無休(※料金と営業は掲載時のものです。最新のデータは公式ホームページなどでご確認ください)

TEL:0278-72-3575

 

ビューテラスてんじん 9時~16時30分/無休/TEL:0278-72-2285

オクトワン ブルーイング 16時~20時(土・日曜、祝日は14時~)/火・水曜休/TEL:0278-25-4520

MICASA 1泊2食1万1150円~/TEL:0278・72・3288

丸須製菓 8時~18時/火曜休/TEL:0278-72-3591

 

(出展:旅行読売2022年8月号)

(WEB掲載:2022年9月18日)


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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