秩父鉄道・創立123周年
123周年ポスター
合言葉は「ちちてつ123」
秩父鉄道株式会社は、2022年11月8日に創立123周年を迎える。「ちちてつ123」を合言葉に掲げ、SLパレオエクスプレスに乗るワクワク感、途中下車して楽しむ鉄道旅の魅力などを伝えながら、秩父鉄道はこれからも沿線住民や旅行者を乗せて秩父路を駆ける。
そもそも秩父鉄道は、1899(明治32)年、大宮郷(現・秩父市)の織物商が起こした上武鉄道が前身だ。営業開始から約29年を経て、現在の秩父鉄道本線の全線が開通した。営業距離71.7㌔は地方民鉄の中でもトップクラスで、関東平野、秩父盆地、山間部など、沿線には四季折々に表情豊かな風景が広がる。
博覧会にあわせSLを運行開始
1988(昭和63)年からは、SLパレオエクスプレスが運行を開始した。「さいたま博覧会」の開催にあわせ「SLを走らせよう!」との気運が盛り上がり、小学校の校庭で余生を送っていたSL「C58363」が抜擢された。“パレオ”は、かつて海だった秩父地方に約2000万年前に生息していた海獣「パレオパラドキシア」にちなんだものだ。
SLパレオエクスプレスはC58363がけん引する客車4両編成で、車内はボックスシートが並ぶレトロな雰囲気。秩父出身の落語家・林家たい平さんが沿線の見所を案内する車内放送も人気を集めている。
のんびりSL弁当を賞味
車内でのひと時をより楽しんでもらおうと、SL弁当開発プロジェクトを昨年からスタートした。沿線地域のレストランと連携する弁当で、第3弾「SLの車窓を楽しむワンプレートランチ」は、熊谷市にある「カフェ トラットリア フォルテ ブル」とコラボし、武州和牛や秩父ホエー豚、さいたまヨーロッパ野菜研究会の野菜など、旬の地元食材を生かし創作したものだ。
紅葉の渓谷で優雅に遊覧
沿線には見どころが多く、特に紅葉シーズンは長瀞ラインくだりがおすすめ。秩父山中の原木を江戸まで運んだ“いかだ流し”がルーツで、1915(大正4)年に「長瀞遊船」として創業。今は親鼻橋と岩畳の約3キロを結ぶAコースと、岩畳と高砂橋の約3キロを結ぶBコースを運航している。Aコースは運が良ければ荒川橋梁を渡るSLと出合える。Bコースは急流「大河瀬」やカエル岩などの奇岩怪石が魅力ポイントだ。
例年、長瀞渓谷の紅葉は10月下旬~12月上旬と見頃が長い。水面に映る紅葉は美しく、船上から優雅に観賞したいものだ。
秩父鉄道の沿革
1899(明治32)年11月 上武鉄道株式会社を設立
1901(明治34)年10月 熊谷-寄居駅間(18.9キロ)開業
1903(明治36)年4月 寄居-波久礼駅間(3.9キロ)開業
1911(明治44)年9月 波久礼-宝登山(現・長瀞)駅間(8.8キロ開業)
1914(大正3)年10月 宝登山-秩父駅間(12.5キロ)開業
1916(大正5)年3月 秩父鉄道株式会社と改称
1917(大正6)年9月 秩父-影森駅間(3.4キロ)開業
1921(大正10)年4月 羽生-行田駅間(8.3キロ)開業(当時、北武鉄道羽生線)
1922(大正11)年1月 熊谷-影森駅間の電化完成
1922(大正11)年8月 行田-熊谷駅間(6.6キロ)開業
1930(昭和5)年3月 影森-三峰口駅間(9.3キロ)開業
<詳細>
秩父鉄道「SLパレオエクスプレス」
運行日:2022年3月19日~12月4日の土・日曜、祝日を中心にした計101日間。運行区間:熊谷-三峰口駅間を1日1往復。運行時刻:土・日曜、祝日/熊谷駅10時10分発→三峰口駅12時50分着、三峰口駅14時03分発→熊谷駅16時18分着。平日/熊谷駅10時12分発→三峰口駅12時45分着、三峰口駅14時発→熊谷駅16時20分着。乗車方法:乗車区間分の乗車券+SL指定席券740円。全席指定席、事前予約制。予約方法:「秩父鉄道SL予約システム」サービスへ。問い合わせ:秩父鉄道旅客案内係TEL:048-580-6363
(出典:旅行読売2022年10月号掲載)
(WEB掲載:2022年9月7日)