駅舎のある風景 高屋駅【陸羽西線】
最上川の流れを眺める縁結びステーション
かれこれ30年ほど前、陸羽東(りくうとう)線・陸羽西(りくうさい)線で東北を横断する旅をした。
二つの路線が接続する新庄駅で乗り換え、日本三大急流の一つである最上(もがみ)川に沿って走る陸羽西線へ。その途中、沿線で唯一最上川を望む駅、高屋(たかや)駅に降り立った。
時を経て、再び訪ねたこの駅。駅舎は今風の小さなものに建て替わっていたが、最上川を望む風景は昔のままだった。雨上がりだったこともあり、切り立った谷に霧がかかり、色づく周囲の木々と相まって、雄大な景色を見せてくれた。
最上峡の舟下りの出発地でもあり、駅前には乗船受付場と「縁結びステーション」の看板が立っている。この名は、舟下りでしか行けない最上川対岸の「仙人堂」で販売している「縁結び切符」にちなむという。
再びこの駅を訪れたのも、何かの〝縁〞だったのかもしれない。
文・写真/越 信行
陸羽西線の愛称は「奥の細道最上川ライン」。1914年に全線開通。高屋駅は1952年開業。新庄駅から普通列車で26分
(出典:「旅行読売」2020年11月号)
(WEB掲載:2022年9月14日)