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【この秋行きたいアートシーン】越後妻有 大地の芸術祭 2022 ~現代アートと里山の魅力~(2)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 新潟県
> 十日町市・津南町
【この秋行きたいアートシーン】越後妻有 大地の芸術祭 2022 ~現代アートと里山の魅力~(2)

「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」のカラフルなオブジェの中には動くものも! 素材は絵の具を塗った流木や木の実

 

棚田そのものも大事な作品の一つ

【この秋行きたいアートシーン】越後妻有 大地の芸術祭 2022 ~現代アートと里山の魅力~(1)より続く

 宿をとったのは、清津峡温泉の「いろりとほたるの宿 せとぐち」。3代目となる樋口克久さん・まり
子さん夫妻が営んでいる。
 自慢の夕食は囲炉裏で味わう。この日のメインは鹿、鴨、猪の3種の焼き肉で、囲炉裏の炭火で焼く。アユの串焼き、ホウボウやシマアジなどの刺し身、煮物、天ぷら、漬物などが所狭しと並ぶ。
 「心掛けているのはおばあちゃんの手料理。地元の食文化も一緒に伝えられたらうれしいですね」と、女将のまり子さんは話す。

いろりとほたるの宿 せとぐち
清津峡の入り口に位置する清津峡温泉に立つ全10室の宿。自家源泉の温泉は肌に優しいナトリウム-塩
化物泉。■新潟県十日町市西田尻辛168/TEL 025-763-2431

囲炉裏端でいただく素朴な里山の料理
自家源泉が満ちるこじんまりとしたお風呂
清津峡近くに立つ小さな湯宿

 せとぐちに宿泊した翌日は、日本三大峡谷の清津峡トンネルをアート空間にし、SNS映えスポットとしても人気の「Tunnel of Light(トンネル オブ ライト)」へ。ダイナミックな峡谷美に圧倒される。
 続いて、廃校全体を空間絵本として展開する「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」、まつだい「農舞台」へ向かう。
 特に印象深かったのはまつだい「農舞台」の「棚田」だ。農作業をする人をかたどった彫刻が置かれた棚田を展望台から見ると、稲作の情景を書いた文章も一緒に読めるようになっていて、大きな絵本を開いたよう。なじみ深い稲作について改めて考え、理解を深めることができる。棚田は大事な作品の一部なので、NPO法人 越後妻有里山協働機構や、ボランティアの人たちが保全に努めているそうだ。

マ・ヤンソン/MADアーキテクツ「Tunnel of Light」。全長750メートルのトンネル内で峡谷美と現代アートの融合を楽しめる
まつだい「農舞台」にあるイリヤ&エミリア・カバコフ「棚田」
カラフルな作品が里山の風景に映える、草間彌生の「花咲ける妻有」
小学校の懐かしい記憶が蘇るのも「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」の魅力
イリヤ&エミリア・カバコフの新作「手をたずさえる塔」

 旅を締めくくる作品は「手をたずさえる塔」。国籍や人種を超え、平和を願う気持ちを込めて制作されたモニュメントで、その姿は教会を思わせ、厳粛な気持ちになった。世界や地域の情勢に合わせて、色を変えたライトアップが行われている。国際情勢が不安定な今こそ見ておきたい作品だ。
 アートを通して、豊かな自然や地域の魅力にふれる旅ができる「大地の芸術祭」の醍だ い醐ご 味を実感した2日間だった。

文/木村理恵子 写真/依田佳子

■モデルコース
1日目
JR越後湯沢駅→車50分→越後妻有里山現代美術館MonET→車20分→うぶすなの家→車40分→たくさんの失われた窓のために→車10分→プールの底に→車3分→せとぐち(泊)
2日目
せとぐち→車7分→Tunnel of Light→車30分→絵本と木の実の美術館→車18分→まつだい「農舞台」→車3分→手をたずさえる塔→車1時間→JR越後湯沢駅

■大地の芸術祭を効率よく楽しもう!
越後湯沢駅を発着とするバスツアーも好評。コースは新作や人気作品を巡るオフィシャルツアー(詳細は芸術祭公式ホームページ)や、半日コースのセレクトバスツアー(詳細は十日町市観光協会 TEL:025-757-3345、観光協会公式ホームページ)など。また、季節に合わせたモデルコースも紹介している。


アクセスと問い合わせ
東京駅から越後湯沢駅まで上越新幹線で1時間20分/練馬ICから湯沢ICまで関越道で約170㌔
大地の芸術祭実行委員会事務局 TEL:025-757-2637

(出典:「旅行読売」2022年10月号)

(WEB掲載:2022年9月17日)


Writer

木村理恵子 さん

旅と料理がメインの編集プロダクションに在籍した後、フリーに。お酒とスイーツ、ひかりもの(魚ではない)が好きで、最近は出身地の茨城愛にも目覚める。ホットヨガに絶賛ハマり中。

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