駅舎のある風景 会津桧原駅【只見線】
山林と深い雪に包まれるとんがり屋根の小さな駅舎
冬景色の中を行く只見(ただみ)線を撮影したくて、会津若松駅から福島県三島町を目指した。会津柳津(あいづやないづ)駅を過ぎ、三島町へ入ってすぐの会津桧原(あいづひのはら)駅で降りた。
エメラルドグリーン色のとんがり屋根を載せた円形の駅舎が、雪の中、うっそうと茂る防雪林を背にたたずむ姿はかわいらしく、おとぎ話の一場面を見ているようだった。
駅舎をカメラに収めて再び列車に乗る。ほどなく車窓の展望が一気に開け、絶景で有名な第一只見川橋梁を渡っていく。山も川も一面の銀世界。息をのむほど美しい光景はメルヘンチックで、まるで先ほどの小さな駅舎が、別世界への入り口のように思えてきた。
二つ先の会津宮下駅で降り、鉄橋を望む展望台がある「道の駅尾瀬街道みしま宿」へ向かう。ファインダー越しに見た只見線の姿は、私の心にも深く焼き付いた。
文・写真/越信行
只見線の前身、旧会津線は1926年開業。会津桧原駅は1941年開業。会津若松駅から会津桧原駅までは1時間15分
(出典:「旅行読売」2020年2月号)
(WEB掲載:2022年9月30日)