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石原良純 僕がダムを好きな理由(2)

場所
石原良純 僕がダムを好きな理由(2)

遠方にありながら治水や発電など人間の生活に寄り添う存在であるダムは、それ自体が見どころの巨大建造物であり、近年は観光地としても注目されている。芸能界屈指のダム好きとして知られる俳優で気象予報士の石原良純さんに、ダムの魅力や見方を聞いた(上の写真は、福井の永平寺ダムで自撮りする石原さん)

 

「見やすいダム」が増えてきた

石原良純 僕がダムを好きな理由(1)より続く

富山の黒四ダムなど観光資源として第一級のものを除き、昔は立ち入れないダムも多かったのです。最近は観光客に親しんでもらおうという「見やすいダム」が増えました。ダムカード(※)も一役買っているかもしれません。

例えば関東なら、観光放流をしている神奈川の宮ヶ瀬ダムは近くて行きやすいです。ダムの上と下を結ぶケーブルカーや、湖の遊覧船もあります。2020年にできた群馬の八ッ場(やんば)ダムは新しいだけあって観光への意識が高く、展望
台やエレベーターがあったり、吾妻(あがつま)線の廃線跡を自転車型トロッコが走っていたり、水陸両用バスが湖を運航していたり、楽しめる要素が多いです。ダムカレーもあるようです。僕が好きな城やローカル線がそうだったように、ダムも観光で来られる方が増え、旅先として成立するようになっています。

最近、ダムに対して郷愁を抱くのは関東人、中でも首都圏の人間なのかもしれない、と思うようになりました。地方ロケに行った時、特に山のほうに住んでいる方にダムのことを話しても、あまり関心を示されないことに気付いたんです。きっと、近くにあるので見慣れているのでしょう(笑)。平野部に暮らしていて身近にダムのない僕のような人間は、身近にないからこそダムの大きさに驚き、郷愁を感じるんです。

聞き手/福﨑圭介

観光放流する宮ヶ瀬ダム(写真/宮ヶ瀬ダム周辺振興財団)
宮ヶ瀬ダム(神奈川・相模原市ほか) は、相模川の支流、中津川にある首都圏最大級のダム貯水池。自重で水圧に耐える重力式コンクリートダム。高さは156㍍。観光放流は4月〜11月の毎週水曜、第2・4金曜、 第2日曜、およびイベント日に1日2回行う。毎年10月に開催している「ナイト放流」 は、2022年は実施。【交通】小田急小田原線本厚木駅から半原行き(野外センター前経由)バス40分、愛川大橋下車徒歩20分/圏央道相模原ICから15㌔(写真/宮ヶ瀬ダム周辺振興財団)
八ッ場ダム(群馬・長野原町)は、利根川支流の吾妻川にある重力式コンクリートダム。2020年に完成し、利用が始まった。高さは116㍍。吾妻線の一部が水没地域にあたり、線路の付け替えと駅の移設が行われた。多目的エレベーターでダムの上と下を行き来できる。 【交通】吾妻線川原湯温泉駅から徒歩40分/関越道渋川伊香保ICから38㌔(写真/利根川ダム統合管理事務所)

プロフィール

石原良純(いしはら よしずみ)

1962年、神奈川県生まれ。俳優、気象予報士。1982年、映画「凶弾」でデビュー。1997年に気象予報士の資格を取得し、報道番組で人気お天気キャスターとして活躍。現在はタレントとしても数多くのバラエティー番組、情報番組に出演。鉄道好き、城好きとしても知られる

 

※ ダムカード……国土交通省と水資源機構の管理するダムで2007年から作成しているカード。表がダムの写真、裏がダムのデータ。管理事務所などで訪問者に無料配布している。

(出典:「旅行読売」2022年9月号)

(WEB掲載:2022年11月29日)

~アルペンルート特集~はこちら


Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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