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【鉄道開業150年】東海道新幹線こだま号で西へ(3)

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【鉄道開業150年】東海道新幹線こだま号で西へ(3)

リニア・鉄道館の「シンボル展示」。世界最高速度を出した3種の車両が並ぶ

 

各年代の世界最速列車が集結するリニア・鉄道館

【鉄道開業150年】東海道新幹線こだま号で西へ(2)より続く

大阪で観光し、翌日、新幹線で名古屋駅へ。新幹線ホームと隣接する西口駅前では、リニア中央新幹線の地下駅の工事が進められていた。2029年頃に品川―名古屋駅間の開業を目指しており、同区間をわずか40分で結ぶという。

名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)に乗り換え、終点の金城(きんじょう)ふ頭駅からすぐのリニア・鉄道館を訪ねた。ここはJR東海が運営する鉄道ミュージアム。蒸気機関車から新幹線へ、そして次世代の超電導リニアへと、高速鉄道技術の進歩を、体験しながら楽しく学べる。

エントランスを抜けると、まずは「シンボル展示」のエリア。照明を落とした部屋に、蒸気機関車、新幹線、超電導リニアの3車両が並ぶ。いずれも各世代の世界最高速度を記録した車両で、左からC62形式蒸気機関車(1954年、時速129キロ)、955形式新幹線試験電車(1996年、時速443キロ)、超電導リニア(2003年、時速581キロ)というラインナップ。黒く無骨なSLと、白くスマートな超電導リニアの風貌はきわめて対照的で、鉄道技術の進化を感じさせる。

金城ふ頭駅からすぐのリニア・鉄道館。付近から港に架かる名物橋「名港トリトン」が見える

メイン会場となる「イベント広場」では、歴代の0系、100系、300系などの新幹線車両をはじめ、鉄道省の木造電車モハ1など、鉄道史に名を残す名車両が並ぶ。

同館副長の松木紳一郎さんは「歴代の新幹線の先頭車が並んでいますので、形状の進化の様子が一目でわかります」と見どころを解説。展示車両は計39両に及び、多くは車内も見学できる。座席や窓、居住性の違いに、それぞれの時代背景が感じられる。

リニアの展示室では、浮上や走行の原理や超電導リニアの技術を模型などで紹介。ミニシアターでは、リニア客室をイメージした客室内で疑似乗車体験ができる。

帰路は名古屋駅からのぞみ号に乗車。最新型のN700Sの乗り心地は快適で、東京駅までの1時間40分はあっという間であった。

文・写真/谷崎 竜

イベント広場ではJR東海の名車がずらりと並ぶ
2000年まで営業していた新幹線の食堂車

記憶の中の鉄道旅

鴨宮モデル線

新幹線の開業に先立ち、神奈川県の綾瀬から小田原付近まで、約32㌔の試験線(通称「鴨宮モデル線」)が建設された。橋梁、トンネル、勾配区間もある理想の試験線で、2両と4両の2編成の試作車を使い走行試験を実施。安定性や快適性など、走行時のあらゆるデータを収集し、そのノウハウは新幹線の車両開発の基礎となった。基地のあった鴨宮には「新幹線発祥の地」の記念碑が立っている。

多くの寝台特急が行き交った東海道

1980年頃は、東海道線を西へ向かう寝台特急がまだ数多く残っていた。当時、名古屋の小学生だった筆者は、それらの列車を見るため、深夜の名古屋駅によく通った。21時半にブルートレイン「さくら」が到着すると、「はやぶさ」「みずほ」と立て続けにやってくる。ほとんど愛知県から出たこともなかった小学生にとって、青い車体に記された「長崎」「西鹿児島」という地名は、はるか遠い異国の気配に満ちていた。「みずほ」を見送ると、次に出発する名古屋始発「金星」まで少し時間がある。その時間にホームで食べたきしめんは、極上の味だった。

新幹線の高速化もあり、寝台特急は次々に姿を消し、2009年の「はやぶさ・富士」の廃止により、名古屋で見られるブルトレは全廃となった。40年がたった今も、名古屋駅のホームできしめんを食べるたびに、当時の情景を思い出す。

文・写真/谷崎 竜

2両で走行実験が行われた試作電車A編成(写真提供/久保 敏)
電車寝台特急の「金星」。夕刻に博多駅を出発し、早朝に名古屋駅に着いた
1980年7月の東海道本線の時刻表

リニア・鉄道館

10時~17時/火曜休(祝日の場合は翌日休)/1000円/℡052・389・6100

※掲載時のデータです。

 

(出典:「旅行読売」2022年10月号)

(Web掲載:2023年1月9日)

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Writer

谷崎 竜 さん

旅行ライター。1969年、名古屋生まれ。千葉大学理学部を卒業後、バックパッカーで世界五大陸を放浪。帰国後、旅専門のフリーライター・カメラマンとして活動する。著書に「のんびり各駅停車」(講談社)、「青春18きっぷパーフェクトガイド」(イカロス出版)など多数。

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