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【旅する喫茶店】自由亭喫茶室(長崎)

場所
> 長崎市
【旅する喫茶店】自由亭喫茶室(長崎)

クラシックな雰囲気の店内。メニューにビーフシチュー(バゲット付き)もあり、グラバー園散策の休憩に

 

港を眺める洋館でカステラを

路面電車を降りて修学旅行生でにぎわう坂を上がり、大浦天主堂を過ぎるとグラバー園に着いた。かつての外国人居留地に残る建物は長期にわたる修繕工事計画が進行中で、リニューアルした重要文化財の旧グラバー住宅などを見て回る。歩き疲れて園内の自由亭喫茶室に寄った。

2階建ての建物の前には「西洋料理発祥の碑」と草野丈吉像が立っている。日本初の西洋料理の専門店を開業した草野が建てた旧自由亭。板張りの擬洋風建築は1878年築で、店の廃業後しばらくして市が譲り受け、現在地に移築復元してから半世紀が過ぎようとしている。

階段を上がると、絨毯(じゅうたん)敷きの床に重厚感のあるアンティークテーブル、壁には年代物のランプが並び、昔日にタイムスリップしたようだ。水出しのダッチコーヒーが名物らしいが、注文を受けてから豆を挽(ひ)きハンドドリップでいれるコーヒーも、ザラメのあるカステラと相性がいい。

「長崎の市花をモチーフにハーブで色付けした紫陽花(あじさい)ゼリーソーダが、写真映えすると若い方に人気です。店に流れるゆっくりした時間をお楽しみください」とスタッフは話す。

初代の自由亭は亀山社中(※)の近くにあったそうだ。新しもの好きの坂本龍馬も通ったかもしれない。窓の外、大小の船が行き交う長崎港を眺めながら、この街らしい歴史が薫る空間で静かなひと時を過ごした。

文/福﨑圭介 写真/森田公司

※亀山社中……1865 年に坂本龍馬らが結成した日本初の商社。現在は跡地に記念館が立つ。

板張りと瓦屋根の擬洋風建築の建物
高台に立ち、窓から長崎港を眺める素晴らしいロケーション
「インスタ映え」すると人気の紫陽花ゼリーソーダ800円(※取材時の金額)

自由亭喫茶室

住所:長崎県長崎市南山手町8-1 グラバー園内

営業:9時30分~L.O.16時45分/無休(グラバー園入園は620円)※取材時のデータです。

交通:長崎電気軌道大浦天主堂停留場から徒歩10 分

℡:095-823-8770

(出典:「旅行読売」2022年1月号)

(Web掲載:20223年1月21日)

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Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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