【愛しの冬列車】引退間近の石北線の特急車両、廃線間近の留萌線に乗る(2)
雪景色の峠下駅ホームに入線した留萌線の車両(写真/JR北海道)
3年後に全面廃線となる留萌線へ
【愛しの冬列車】引退間近の石北線の特急車両、廃線間近の留萌線に乗る(1)から続く
北海道を旅していると、小さな町に駅跡を見つけることがよくある。道内の鉄道線路網の総延長は国鉄時代の1983年には4004㌔だったが、民営化を前に約35%が廃止された。JR北海道発足後も廃線は進み、現在の総営業キロ数は2372㌔まで縮小している。
廃線や廃駅が相次ぐ中、2022年8月、留萌(るもい)線の段階的廃止が決まった。留萌―石狩沼田駅間は23年春に、残る石狩沼田―深川駅間は通学利用者のために3年間存続後、26年3月末までに廃止される予定だ。留萌線の最後の姿を心に残そうと、旭川から留萌へと向かった。深川までは函館線特急「カムイ」で約18分。深川駅で留萌線のホームへ移動し、1両編成の列車に乗り込む。
車内には整理券発行機と運賃箱、運賃表示機があり、まるでバスのようだ。留萌線は発着駅の深川と留萌だけが有人駅で、間の10駅はすべて無人。途中駅で乗降する際は、この方法で料金を支払うのだ。
座席も様々な種類があるのが楽しい。前方と後方にロングシート、中央部の片側に4人掛けのボックスシート。その反対には、窓辺に2人が向かい合って座るシートもある。
留萌駅名物のにしんそばで温まる
動き出した列車は石狩平野に広がる水田地帯の中を進む。冬は一面の銀世界だ。北一已(きたいちやん)、秩父別(ちっぷべつ)と難読駅名が続き、四つ目が石狩沼田駅。その先から今年度で廃止される区間へと入る。山間部をゆっくりと進み、深川から56分で留萌駅に到着した。
留萌は江戸時代末期から昭和中期までニシン漁でにぎわった。駅待合室内のそば店の品書きにはにしんそばもある。店主の武蔵照義さんによると、廃線後は駅舎も取り壊される予定。「明治時代から留萌駅で商売していて、僕で5代目。なくしたくないよね」。武蔵さんは今後、店をどうするか思案している。
高台にある千望台から日本海に寄り添う小さな町を見渡し、きっと鉄道とともに発展してきた町なのだろうと思った。帰りは見納めとなる車窓風景をしっかりと記憶に留めた。
旭川からは、富良野経由で長らく東鹿越(ひがししかごえ)―新得駅間が代行バス輸送になっている根室線に乗るのもいい。帯広まで行ったら、さてその先は花咲線か、SL冬の湿原号か。乗っておきたい列車がまだまだある。
文/春日 明子 写真/崎 一馬
らーめんや天金4条店
旭川で立ち寄りたいラーメン店。旭川は醤油(しょうゆ)ラーメンが主流といわれる。1992年に店主の藤田奈々子さんが開業。かつて旭川にあった醤油蔵のレシピで特注した「辛みが強く濃い昔ながらの醤油」を使い、豚骨と鶏ガラを丸2日煮込んだスープと合わせる。滋味深いスープに中太縮れ麺が絡む。
■11時〜20時/ 火曜、1月1日休/石北線旭川駅から徒歩10分/北海道旭川市4条通9-1704-31/℡0166-27-9525(※掲載時の営業時間です)
(出典:「旅行読売」2023年1月号)
(Web掲載:2023年2月8日)