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温泉にご当地グルメ、雄大な眺望も。いいとこどりの鹿児島の旅

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温泉にご当地グルメ、雄大な眺望も。いいとこどりの鹿児島の旅

指宿のホテルから見下ろす錦江湾の朝焼けとJR指宿枕崎線


「パッケージツアーの『楽』と、個人旅行の『自由』 どちらもかなう旅」――。そんなうたい文句の旅行商品が発売された。おまかせで旅先を効率的に回れると同時に、思いつきの自由行動もできるという、読売旅行の新ブランド「ブーケ」を娘(27)とともに体験してみた。


初日に突然訪れた「旅のハイライト」

小高い山の遊歩道を上り、視界をさえぎっていた木立が途切れた瞬間に、見渡す限り宝石をちりばめたような夜景が目に飛び込んできた。城山の展望台から見下ろす鹿児島市街は、白やオレンジ色に鮮やかにきらめき、遠く桜島のシルエットもくっきりと見える。展望台に居合わせた別のグループから、「これは、すごいね」と嘆声が上がった。鹿児島県を訪れる3日間の旅のハイライトは、「時間が余ったから寄ってみるか」というついでの夕刻に訪れた。

城山の展望台から見える鹿児島市街と桜島


今回、「ブーケ」の旅を体験することを思い立ったのは、物臭にして協調性を欠くという自らの性格による。無類の旅好きで日本と世界の観光地を訪れてはみたいが、比類なき面倒臭がり家で、事前に訪問先や交通手段を調べるのがとにかくわずらわしい。一方で、団体行動が苦手で、集合時間をきちんと守ったり、トイレの時間を決められたりできない。事前に何の準備をしなくても必見の観光地を案内してくれる団体ツアーと、自分のペースで行動できる個人旅行の良さをいいとこどりした旅行商品がないものかと考えていたところに、「えらぶ、わたしにあう旅。ブーケ誕生」のコピーが目に入った。

(左)読売旅行のサイト上で飛行機の便を自由に選ぶ/(右)読売旅行の個人型新ブランド「ブーケ」ロゴ

 

 

忘れることのできない72時間の旅が、いよいよスタート

2023年1月に発売された読売旅行の「ブーケ」は、添乗員の付かない個人型の旅行商品で、思い立ったら直前でも申し込めたり、「最少催行人数1人」など少人数で出発保証がついたりする商品が多い点が団体型ツアーと異なる。さらに、旅行中の立ち寄り先などの観光素材、いわゆる「旅ナカ」を充実させ、ホテルやフライトを選べる商品も豊富なのが特徴だ。今回選んだ「なんちゅてん南九州 鹿児島市内・指宿温泉3日間」は、鹿児島市~指宿市~南九州市・知覧~鹿児島市を巡るコースで、行く先々での乗り放題バスチケットが付いていた。繁忙期に個人では手配がむずかしい観光列車「指宿のたまて箱」もセットだ。周辺の見どころを見逃さないための旅程が、ゆる~く設定されているイメージだ。

どうせなら出たとこ勝負で楽しんでみようと、全く土地勘のない鹿児島訪問だったが、事前に何も調べず飛行機に乗った。予約の際には、都合の良い出発時間のフライトを選べた。いわゆる、変動価格(ダイナミックプライシング)対応商品で、朝から夕方まで結構選択肢があり、料金も片道6,000円以上の差があった。結局、一番安かった便で現地に入り、まず空港の観光案内所で「鹿児島市 観光ガイドマップ」をもらった。マップに紹介されていた定番コース「鹿児島満喫の旅」を基本としてたどることにして、鹿児島中央駅から西郷隆盛銅像、維新ふるさと館、桜島などを回るルートを歩き始めた。

多くの乗客が市電を降車したので、つられて降りた鹿児島市中心部・天文館通
ラーメン王国・鹿児島ならではの絶品ラーメン


結果として、旅の思い出となる経験は、思いつきで寄り道したり、ぶらっと立ち寄ったりした時間に生まれた。

たとえば、派手な看板に誘われて市電駅わきのラーメン屋に入ったところ、背脂ギットリとシコシコ細麺が絶品で、米国滞在が長い娘は、「これまでの人生で一番おいしいラーメンかも」と目を丸くした。桜島のなぎさ公園足湯に向かう途中では、岩の上で日向ぼっこする愛らしい白猫を発見。写真撮影が趣味の娘は10分間にわたり至近距離でシャッターを切り、ご満悦だった。滞在時間は予定の30分から倍の1時間に延びたが、集合時間のない気ままな個人旅なので一向に構わない。

旅のシャッターチャンスは一期一会だ


冒頭に紹介した城山訪問は、桜島から市街に戻ったらまだ夕食まで時間があったから、思いつきで寄り道した先だった。たまたま乗ったバスの運転手が、展望台の手前にある、西郷隆盛が西南戦争でこもった洞窟で降りようとする私たちに、「どうせなら展望台まで上がった方がいいよ」と教えてくれてたどり着けた。英語にセレンディピティ(偶然からつかむ幸運)という素敵な言葉があるが、まさに旅の出会いと偶然の幸運に恵まれる3日間となった。

もちろん、初めて体験する指宿の砂蒸し温泉や桜島の景色、観光列車「指宿のたまて箱」といった定番のメニューは外せないし、確かに印象的だった。要は、必見の場所を手際よく回る移動と、ゆったり過ごす自由時間のバランスであり、それを自分好みでアレンジできるのがブーケの良さだと感じた。

特急「指宿のたまて箱」は鹿児島中央駅と指宿駅をむすぶ特別列車



知覧にて、この旅最大のハプニングが発生

さて、旅の最大のハプニングは最後に立ち寄った知覧で起こった。指宿から1時間のバス移動に軽い疲れを覚え、ちょうど昼時だったので立ち寄ったカフェで読売旅行から送られたチケットを確かめた。すると、飛行機の出発時間が何となく思い込んでいた夕方でなく、午後3時40分であることがわかった。予定していたバスでは間に合わない。

慌てて代替交通を探したが、親切に対応してくれた観光協会の方は「今からだとタクシーで鹿児島中央駅まで出るしかないですね」と気の毒そうに言う。アドバイスに従い、特攻平和会館の見学もそこそこにタクシーに乗った。鹿児島市に戻った時、料金メーターは10,340円を指していた。個人型の旅では、やはり自分できちんと旅程を把握しなければならないことを学ばされる、高い授業料となった。「コロナ禍でバスの本数が減ったので、知覧から鹿児島中央駅だけでなく、さらに遠くて料金2万円を超す空港までいらっしゃる観光客の方もよくいらっしゃいますよ」。ベテラン運転手の言葉が、せめてもの慰めだった。

のんびりと冬の日差しをあびる猫


ともあれ、数々の忘れがたい経験と、おいしい薩摩料理、そして焼酎を満喫できた娘との道中は、おそらく人生で忘れることのない72時間となった。娘も、親に引き回されて子供のころに訪れた観光地はきれいさっぱり忘れたが、迷いながら初めての地を巡った今回の旅は「いつまでも塗りたての絵の具のように覚えてるよ」とうれしいことを言う。

よみうりのよりみちの旅=ブーケは、旅の個人化が進むとされる中、夫婦や親子、友人同士、そして一人旅など様々な組み合わせの旅人に、新しい旅のかたちを示すものになりそうだ。


写真/貞広 貴志&貴亜 文/貞広 貴志



読売旅行の新しい個人型旅行「ブーケ」特集ページはこちらから。


Writer

たびよみ編集部 さん

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