日本各地には特産を生かしたご当地鍋があり、その陰に生産者の熱い思いがあります。共通するのは、手塩にかけて育てた食材を広くしってもらいたい、おいしく食べてもらいたいというひたむきな心。お腹も心もポカポカになるご当地鍋五つをご紹介します！

丸鶏で仕入れた名古屋コーチンのすべての部位を堪能！

肉をひきずるように食べることから、名古屋などではすき焼きをひきずりと呼ぶ。愛知県岩倉市にある日本料理 松月（しょうげつ）では、さばきたての名古屋コーチンの若い雌鶏を専門店から仕入れ、モモ肉、ムネ肉、手羽、肝、砂肝などすべての部位を使用。脂のりと程よい弾力を楽しめる。

日本料理 松月
◎愛知・岩倉市
TEL：0587-37-0276

■名古屋コーチン鍋コース（すき焼き）1人前6000円（2人前〜、前日までに要予約）／11時30分〜22時／不定休（年末年始休あり）／名鉄犬山線岩倉駅から徒歩5分

自社牧場で肥育したおいしい馬肉を使用！欲張りな2種の食べ方

源義経が平泉に落ち延びる際、弁慶が鴨をとって兜（かぶと）を鍋代わりにしたという逸話に由来する義経鍋は、青森県南部地方の馬肉料理。五戸町にある尾形精肉店ではバラ肉の希少部位カイノミとハラミを使用。中央で水炊き、その周りで焼肉を楽しむ一石二鳥の鍋だ。

尾形精肉店
◎青森・五戸町
TEL：0178-62-3016

■1人前2860円（2人前〜）／11時〜20時30分／無休／東北新幹線八戸駅からバス34分、中央下車
徒歩5分

はりはり鍋が進化！新鮮な鯨肉だからレアで味わいたい

刺し身用の鯨肉で水菜を巻き、昆布と2種の本節を軸としたうま味たっぷりのダシにくぐらせて半生で味わうのが、大阪市にあるむらさきが考案したはりしゃぶ鍋。ミンククジラ、イワシクジラなどからとった鹿の子（アゴ肉）、赤身、本皮の異なる味わいを楽しめる。

むらさき
◎大阪・大阪市
TEL：06-6441-3871

■1人前2900円／17時〜22時（土曜は〜21時）／日曜、祝日、年末年始休（土曜は不定休あり）／大阪メトロ四つ橋線肥後橋駅から徒歩2分

あっさりとした塩味、肉と野菜のうま味が日本酒で調和する

1873年に創業した賀茂鶴酒造で蔵人のまかない料理として作られたのが始まり。ニンニクと豚バラ肉や鶏肉、砂肝、野菜などを鍋で炒めてから本醸造 上等酒を加え、うま味を引き出す。塩・コショウの素朴な味付けと素材由来のダシが体にしみる。

日本酒ダイニング 仏蘭西屋（ふらんすや）
◎広島・東広島市
TEL：082-422-8008

■ランチは美酒鍋御膳1990円、ディナーは美酒鍋小鍋1310円／11時30分〜14時、17時〜21時／木曜、第2・4月曜、年末年始休／山陽線西条駅から徒歩3分

見た目とは裏腹に極上のダシがしみ出る岩美名物の深海魚

カニの底引き網で混獲される深海魚、タナカゲンゲはその見た目から漁業者の間で「ばばあ」と呼ばれてきた。じつはタラやアンコウのように上品なダシが出て、鍋にすればプリッとした食感に。煮付けや刺し身、締めの雑炊まで楽しめる冬の味覚。

かまや旅館
◎鳥取・岩美町
TEL：0857-72-0470

■ばばちゃん鍋コース1人前4500円（提供は3月頃まで）／日時は予約時に相談／宿は無休／鳥取駅からバス45分、浦富海岸口下車すぐ

※各店舗のデータは2月号掲載時のものです。変更になっている場合もございます。

文／春日明子

（出典：「旅行読売」2023年2月号）

（Web掲載：2023年3月31日）

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