【桜の咲く駅へ】若桜鉄道で行く若桜駅(2)
例年開花時期に行われる夜桜ライトアップ。駅構内へは入場券300円が必要(写真/北内泰久)
文化財や古い町並みが残る若桜駅周辺を歩く
桜は春のお楽しみだが、若桜駅には一年を通してファンを呼び寄せるお宝がある。蒸気機関車を方向転換させる機関車転車台、給水塔、雪塊を流すための流雪溝など8施設が国の登録有形文化財だ。見学料300円を払うと構内を散策できて写真も撮り放題。
「若桜駅の本屋やプラットホーム、機関車転車台、給水塔なども含めて、沿線の駅舎やプラットホーム、橋梁など23の鉄道関連施設が国の登録有形文化財です」と若桜鉄道専務の専務・矢部雅彦さんも誇らしそう。可能ならばこのお宝と、満開の桜をあわせて楽しむのがベスト。著名な工業デザイナー、水戸岡鋭治氏がプロデュースした観光列車も注目のポイントだ。
宿場町を散策してから岡山県の津山城へ
駅周辺も足早に見て歩くことにした。若桜鬼ヶ城の城下町を起源とし、宿場町として発展した古い町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。若桜民工芸館などに立ち寄り、再び列車に揺られて郡家駅に戻る。
時刻はまだ12時過ぎ。せっかくここまで来たのだから岡山県津山市の津山城も訪ねてみよう。圧巻の迫力と聞く高た か石垣と、城跡から見る展望が楽しみだ。途中の因美(いんび)線でも三浦駅、美作滝尾駅などで、のどかな里山を彩る桜を車窓に見られる。
文/北浦雅子
見頃:3月下旬~4月上旬
レトロな木造駅舎を囲んで100本近くのソメイヨシノが咲く。沿線の安部駅は映画『男はつらいよ』のロケ地で、“寅さんの桜”が記念植樹されている。途中駅のホームや八東川沿いの桜並木も素朴でかれんだ。
■問い合わせ:TEL0858-82-0919(若桜鉄道)
(出典:「旅行読売」2023年4月号)
(Web掲載:2023年3月29日)