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【新・日本の絶景】境内に広がる苔の美しさで知られる「平泉寺白山神社」

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【新・日本の絶景】境内に広がる苔の美しさで知られる「平泉寺白山神社」

平泉寺白山神社の拝殿。 手前には緑のじゅうたんのように苔が一面に広がる(写真/勝山市商工文化課)

一面を覆う苔のじゅうたん 33年に一度の御開帳

福井県北東部の勝山市にある平泉寺白山(へいせんじはくさん)神社は、明治初期に発令された神仏分離令によって神社となるまでは、「白山平泉寺」という寺院だった。境内に広がる苔の美しさで知られ、「苔宮」とも呼ばれている。

平泉寺白山神社の始まりは、約1300年前に遡る。白山を開いた僧の泰澄(たいちょう)が創建。白山信仰の越前側の拠点となり、戦国時代の最盛期には、寺領9万石、僧坊6000、僧兵8000人の規模を誇り、巨大な宗教都市がこの地に形成されていたという。一向一揆により全山が焼失、後に再興された。

参道など境内の至る所で苔が見られ、中でも拝殿前周辺は見応えがある。 杉の大木が立ち並ぶ参道を通り、二の鳥居をくぐって拝殿の前に出ると、視界が開ける。地面一面が苔で覆われ、天に向かって杉が真っすぐに林立する空間に、まるで緑のじゅうたんが敷き詰められているようだ。辺りは静寂に包まれ、神社という場所にふさわしい厳かな空気が漂う中、幻想的で別世界を思わせる景色が広がっている。

苔は、積雪のある冬季以外は見ることができるが、梅雨から初夏の時期や、雨上がりが特におすすめ。苔が水分を含んでみずみずしく、より色鮮やかになる。濡れた苔は木漏れ日が差し込むとキラキラと輝き、ひときわ美しい。

参道や境内は木々によって適度に日光が遮られ、周囲の広大な森がほどよい湿度を保っているようで、苔の生育に適した環境がうかがえる。地域の住民らが清掃などを行っているという。 周辺では、焼失前の遺跡が今も新たに発掘されている。歴史の名残を感じ、苔の美しさに癒やされながらゆっくり訪れたい。

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参道。両脇に立ち並ぶ杉の大木の合間から光が差し込み、神々しい雰囲気が漂う

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御手洗池(おみたらし)。かつて「平清水(ひらしみず)」と呼ばれ、平泉寺の
呼称の元となった池

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発掘された中世の石畳の道(写真3点/勝山市商工文化課)

2025年は、33年に一度行われる本社の御開帳の年にあたる。5月23日~25日の3日間、普段は閉じられている本社の扉が開かれる。御開帳を祝うイベントとして、23日は雅楽師・東儀秀樹さんの奉納演奏、24日は僧兵行列や護摩焚き(ごまた)き、25日はテノール歌手・秋山雅史さんらのコンサートなどが開催される。

🍵立ち寄りたいお店

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神社そばにある「日本茶カフェROKUSAI」の苔玉チーズケーキ(単品900円)

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建物は築130年の古民家を改装(写真2点/日本茶カフェROKUSAI)

■10時~16時30分/月~水曜休 ※12月~3月休業/TEL:0779-69-2693(インスタグラム:@ROKUSAI


平泉寺白山神社【ベストシーズン】梅雨~初夏

営業:参拝自由 ※旧玄成院庭園の拝観料50円
交通:えちぜん鉄道勝山駅からタクシー15分/中部縦貫道大野ICから7キロ
住所:勝山市平泉寺町平泉寺
問い合わせ:TEL 0779-88-8117(勝山市商工文化課)

文/出口由紀

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2025年2月号)
(Web掲載:2025年5月14日)


Writer

出口由紀 さん

美味しいものには目がないライター。その土地の空気の中で味わう新鮮な特産品や郷土料理は、旅ならではの醍醐味だと思っている。最近感動したのは、生でかじった北海道の白いトウモロコシと夏の日本海の岩ガキ。土地それぞれの言葉を聞くのも好きで、一期一会の出会いと会話を楽しみながら旅をする。

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