【新・日本の絶景】冬に咲くさくら ライトアップ

花びらが水面に舞う「花筏(いかだ)」も再現
弘前市民の誇る桜が厳寒の夜に浮かび上がる
桜の名所として知られる弘前公園。地元の人々は、その桜を誇りに思っているのだろう。冬にも桜を咲かせてしまったのだ。ライトアップにより満開の桜を再現することによって。会場は弘前公園の追手(おおて)門付近を中心とした外堀約500メートル。弘前市役所本庁舎や弘前市立観光館の近くだ。
このイベントは、1枚の写真をきっかけに、2017年12月に始まった。当時、弘前市相馬地区(旧相馬村)の地域おこし協力隊員だった米山竜一さんが、堀端の桜の木の枝に雪がこんもりと積もった景色を写真に撮ったところ、ピンク色を帯びた街灯の光が雪に反射して桜が咲いているかのように写った。SNSに投稿すると、「満開の桜に見える」などと反響が相次ぎ、地元住民の間でも話題になった。米山さんは弘前の新たな魅力になるかもしれないと、本格的にライトアップすることを構想。クラウドファンディングも利用して開催に漕(こ) ぎつけたのだ。
ピンク色のライトアップにより、遠目に見るとまさしく満開の桜。現在、実行委員会代表を務める米山さんは、「雪国らしく積雪が多くなるほどに美しく見えます。冬の弘前ならではの景色を楽しんで、春の桜にも思いをはせてください」と語る。ライトアップは開催を経るごとにバリエーションが増え、白、緑、オレンジ色と、四季の色をイメージした色に照らされる。
に雪が積もるほどに輝きを増していく。防寒対策を整えて出かけよう
闇夜に降りしきる雪が花吹雪のようにも見える
今年度は光をより柔らかくして、春のさくら祭りの雰囲気に近づけたそう。過去の観測では12月下旬~1月上旬と2月上旬~中旬に〝見頃〟となる日が多いとのこと。積雪がない時は、金魚ねぷたを配置し、訪れる人の目を楽しませてくれる。
ねぷた祭りでも使われる金魚ねぷたが冬もイベントを盛り上げる
冬季の弘前公園では2025年2月7日~11日に「弘前城雪燈籠(とうろう)まつり」を開催。約150基の雪燈籠に明かりがともり、雪化粧をした天守や老松がライトアップされる。さらに2月28日まで「弘前エレクトリカルファンタジー」も開催中で、大正時代の洋館などの文化財施設が市内各所でライトアップされる。カラフルなイルミネーションに彩られた雪国弘前の冬を楽しみたい。
文/渡辺貴由
冬に咲くさくらライトアップ【ベストシーズン】12月下旬~1月上旬、2月上旬~中旬
営業:2025年2月28日まで開催。日没~21時30分(弘前城雪燈籠まつり期間の2月7日~11日は~23時、12月27日~1月5日は~翌1時)/期間中無休/無料
交通:奥羽線弘前駅からバス15分、市役所前下車すぐ
問い合わせ:TEL0172-40-0236(弘前市観光課)
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2025年2月号)
(Web掲載:2025年5月16日)