ランタンは1個2人以上で打ち上げる。人々の顔を照らし、夜空へ消えていく

宮沢賢治も見上げ、銀河鉄道を思い描いた花巻の星空に、願いを込めたランタンが舞い上がる。会場は、花巻市内の鉛（なまり）温泉スキー場ゲレンデ。開催日に花巻温泉、大沢温泉、鉛温泉などからなる花巻温泉郷に泊まる人限定のイベントで、今年度は1・2月に5回の開催を予定している。参加希望者は対象の宿泊施設に直接申し込む。

宿にチェックイン後、和紙と竹でできたランタンを受け取り、思い思いに願い事を書く。ランタンはタイや台湾などアジア各地で見られる熱気球の一種で、通信や祈祷（きとう）に使われてきた。ゆらゆらと夜空に舞う様が幻想的で、現在ではイベントとしても人気だ。花巻温泉郷は新たな冬のイベントとして、2018年より開催している。

準備が整ったら無料送迎車で会場へ。打ち上げは18時から約30分間。現地スタッフが着火し、列車の汽笛の音を合図にいっせいに打ち上げる。長さ80センチほど、薄いオレンジ色に光るランタンは、夜空に吸い込まれるように舞い上がっていく。周囲は照明などが消されて真っ暗。闇夜にランタンが舞う幻想的な光景に、心が洗われるような気分になる。晴れていれば星空との競演となる。

終了後は送迎車で宿へ戻り、温泉で温まろう。雪景色を眺める露天風呂が自慢の宿も多く、イベントを振り返りながら星空を眺めていると、銀河鉄道の汽笛がもう一度耳によみがえる。なお、会場に積雪がない場合や雨、強風時などは中止となる。

またこの時期、東北線花巻駅からほど近い花巻中央広場では2月16日までイルミネーションが施される。さらに花巻駅から車で40分の「たろし滝」も見ものだ。水滴が凍って滝のように見える氷柱で、その年の気候によって太さはまちまちだが、過去最高は8メートル。毎年2月11日に太さを測ってその年の作柄を占うイベントも開催される。雪と氷、そしてランタンが織りなす花巻の冬景色を楽しみたい。

文／渡辺貴由

はなまき星めぐりの夜

👀ベストシーズン：2025年１月19・26日、2月2・11・16日開催予定
営業：上記開催日の18時～18時30分／参加費1500円、ランタン代1個1000円（1個2人以上で打ち上げ）
交通：花巻温泉郷の宿泊施設から無料送迎
問い合わせ：TEL0198-29-4522（花巻観光協会）

※記載内容は掲載時のデータです。

（出典：「旅行読売」2025年2月号）
（Web掲載：2025年1月15日）