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【2025年に見たい✦新・日本の絶景】チームラボ 幽谷隠田跡

場所
> 北茨城市
【2025年に見たい✦新・日本の絶景】チームラボ 幽谷隠田跡

《隠田跡の水鏡の道》。水深3センチほどの棚田跡を歩くと水面が揺れ、また違った景色となる teamLab, Water Mirror Path through the Rice Terraces © teamLab

 

海辺の森に隠れていた棚田が音と光が交錯するアートの場に

岡倉天心が晩年に居を構えた五浦(いづら)の地で森に隠れるように時を過ごしてきた棚田の跡が、光と音で描き出すアートの舞台としてよみがえった。各地でデジタルテクノロジーを使ったアートを制作するチームラボが手がけ、2024年9月にオープン。「深い森を抜けた先の谷に広がる棚田跡を、自然と人の営みが続いてきた長い時間を意識できるような、棚田と森と植物が一体となった作品空間に仕上げた」という。

会場では、日没とともに11の作品が幻想的な空間を創出する。そのいくつかを紹介すると、水を張った棚田に無数のライトが浮かぶ《隠田跡》は、在(あ)りし日の棚田の夜を連想させる。《隠田跡の水鏡の道》をゆっくり歩けば、水面に映る明かりが生き物のようにゆらめく。タブノキの大木に発光する球体を無数に取り付けた《タブノキに宿る呼応する宇宙》では、人が近付くと最も近い球体が強く輝き音色を響かせ、それに呼応するように周囲の球体が光り始める。

棚田を取り囲み、棚田を守ってきた森も作品となる《隠田跡》。満月の夜はことさら幻想的 teamLab, Hidden Traces of Rice Terraces © teamLab

また、打ち寄せる波が幻想的な光に照らされる《海が立ち上がる時花が咲く-五浦の海》では、海もアートの舞台として取り入れられている。「自然が自然のままアートになる」というチームラボのプロジェクトは、風や波の音をも作品として新たな〝絶景〟にたどり着いた。

なお、園内は暗くアップダウンや悪路もあるので、歩きやすい靴で訪ねよう。水に入れる作品もあるので、タオルを持参するなど水濡れ対策もお忘れなく。季節によっては虫除けスプレーなども必要だ。

新緑のようにも見える《幽谷の竹林》は雅楽を基調としたような現代音楽が流れ、歩く速度によって音の響きが違って聞こえる teamLab, Bamboo Forest of the Secret Valley © teamLab

開催は夜なので帰路が心配な場合は、6人まで利用できる2建てのコテージ(1泊2食3万6300円~)、コットンテントを用いたグランピング施設(素泊まり1万8700円~)に泊まるのも一案だ。コテージは半露天風呂を備えているほか、露天風呂から棚田跡を眺められる「五浦幽谷隠田跡温泉」(宿泊者のみ利用可)もあり、「夜の森のミュージアム」と称する景色を心ゆくまで楽しめる。五浦観光ホテルなど、周辺の温泉地に宿を取ってもいい。

文/渡辺貴由

「五浦幽谷隠田跡温泉」は源泉かけ流し。内湯と外湯(露天風呂)があり、外湯は水着で入る男女共用の温泉。「五浦幽谷隠田跡温泉源泉かけ流し&グランピング」 茨城、五浦©株式会社創輝
アートと一体となれるグランピング施設。大型テントは天井が高く小窓も備えていて、快適に過ごせる。「五浦幽谷隠田跡温泉源泉かけ流し&グランピング」 茨城、五浦©株式会社創輝

チームラボ幽谷隠田跡

👀ベストシーズン:通年
営業:17時30分~21時(1月14日~31日は18時~22時、ほか季節により異なる)/第1火曜休/2200円
交通:常磐線大津港駅からタクシー5分、同磯原駅からタクシー15分、同勿来駅からタクシー11分/常磐道北茨城ICから11キロ
住所:北茨城市大津町2132
問い合わせ:TEL0293-24-5265(五浦幽谷隠田跡温泉)

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2025年2月号)
(Web掲載:2025年1月20日)


Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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