たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【桜の咲く駅へ】中央線・身延線で巡る山梨桜回廊(1)甚六桜

場所
> 甲州市、北杜市、身延町
見頃
3月下旬~4月上旬
【桜の咲く駅へ】中央線・身延線で巡る山梨桜回廊(1)甚六桜

甚六桜が咲く勝沼ぶどう郷駅は1993年までは勝沼駅の名称で親しまれ、古いホームの様子も再現されている。写真左側に現在の線路がある(写真/ピクスタ)

 

駅を包む1キロの桜並木と甲府盆地の絶景

今年はいつになく春が待ち遠しい。家族や友人と語らいながら笑いながら、久しぶりに気兼ねなく花見を楽しめるだろう。ローカル線で遠慮なく遠出もできそうだ。

早速、時刻表を開いて定めたお花見ルートは、中央線から身延線に乗り継いで1泊2日でたどる「山梨桜回廊」コース。駅を包む桜並木、日本を代表する名木、聖地のシダレザクラの下で「ひさかたの 光のどけき 春の日」を過ごしたい。

スタートは新宿駅。中央線で一路西へ向かう。都県境の山あいを抜け、勝沼ぶどう郷駅が近づいたら心の準備をしておこう。同駅のすぐ手前、新大日影トンネルを抜けた途端に、車窓は暗転後の舞台のごとく一変する。トンネル出口からソメイヨシノの並木が約1㌔にわたって続き、線路際まで見事な枝が伸びている。「甚六桜」と呼ばれる山梨屈指の「駅の桜」だ。

電気機関車(EF64-18)も展示され、鉄道ファンも多く訪れる(写真/甲州市)

列車の風圧で幻想的に舞い上がる桜の花びら

眼下には甲府盆地が開け、伸びやかな風景が開放感を添える。遠くには南アルプスの山並みが続いている。あちらこちらで老若男女が花見に興じている。そして列車の風圧で舞う花吹雪……。絵にかいたような「日本の春」が待っている。

甚六桜は50年ほど前、「自分たちで植えて育てて、年寄りになった時に孫と一緒にお花見をする場所を作りたい」という地元の人々の願いが発端だった。それが今や各地から花見客が集う桜の名所となった。「この桜を確実に次の世代へつなげたい」と、地域住民が管理を続けている。作業を通じて、人と人の絆も強固に保たれているという。

桜の木の下に、今年は久しぶりのにぎわいが戻ってくることだろう(写真/甲州市)

花見の後は、民家の縁側で甲州ワインを

勝沼ぶどう郷駅から徒歩5分にあるKatsunuma縁側茶房は、築180年になる民家の縁側で、斜面に広がるブドウ畑を眺めながら食事やドリンク、軽食を味わえる。ブドウ農家も営み、自家製のブドウや野菜、地元の食材を店主の三森由美子さんが心温まる料理に仕上げる。春の暖かな日差しに包まれると、いつまでも座っていたくなる。

文/渡辺貴由

 

【桜の咲く駅へ】中央線・身延線で巡る山梨桜回廊(2)山高神代桜へ続く

 

Katsunuma縁側茶房

築180年になる民家の縁側で、斜面に広がるブドウ畑を眺めながら食事やドリンク、軽食を味わえる。ブドウ農家も営み、自家製のブドウや野菜、地元の食材を店主の三森由美子さんが心温まる料理に仕上げる。春の暖かな日差しに包まれると、いつまでも座っていたくなる。

■4月~11月の土・日曜、祝日の12時~17時30分のみ営業。ほかは3000円のコース料理のみ要予約(11時30分~)で受け付ける/勝沼ぶどう郷駅から徒歩5分/TEL0553-39-9091

ぶどうのピザ1000円、白ワイン4種飲み比べセット1400円など
自宅を店舗として営業している
「ワイナリー巡りの休憩所になればと思い、店を始めました」と店主の三森さん

甚六桜

見頃:3月下旬~4月上旬

勝沼ぶどう郷駅を包むようにソメイヨシノが咲く。名前は地元菱山地区の跡取りが集まって1973年に発足した「甚六会」に由来。甚六会では、77年から約1000本の桜を植栽。下草刈りや消毒などを続け、今の桜並木が誕生した。

■見学自由/勝沼ぶどう郷駅からすぐ/℡0553・32・2111(甲州市観光協会)

 

(出典:「旅行読売」2023年4月号)

(Web掲載:2023年3月29日)

☛移りゆく車窓の景色と心地よい列車のゆれ、鉄道の旅はこちら

☛春の訪れを感じさせる桜の花、桜めぐり特集はこちら

☛山梨県など甲信越エリアへのツアーはこちら


Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。現在、月刊「旅行読売」編集部副編集長。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

Related stories

関連記事

Related tours

この記事を見た人はこんなツアーを見ています