【道の駅へドライブ】道の駅 山陽道やかげ宿
本陣をモチーフにしたという風格あるデザインの外観
あえて物販や飲食コーナーを設けない新スタイル
あえて物販や飲食コーナーを設けない、新しいスタイルの道の駅が登場した。矢掛(やかげ)町の山陽道やかげ宿である。コンセプトは「やかげまるごと道の駅」。町の玄関口として魅力を発信し、飲食や買い物は隣接した商店街で楽しんでもらおうというわけだ。
矢掛町は江戸時代から宿場町としてにぎわった。道の駅と目と鼻の先の旧山陽道、東西約1キロの本陣通りには町家が多く残り、国重文の本陣と脇本陣も現存している。ここ数年の間に町家や古民家を再生した宿泊施設やカフェなどが次々オープン。2020年には本陣通りが重要伝統的建造物群保存地区に選定され、一部区間は電線も地中化し、いっそう趣ある町並みとなった。
山陽道やかげ宿では、こうした町の魅力を伝えるため、訪問客に30ページあまりの小冊子「やかげまるごと探索マップ」を無料で配布。イラスト入りで本陣通りの案内や見どころ、町の歴史や暮らしまで解説したガイドブックだ。
さらに館内の展示コーナーでは、篤姫(あつひめ)が輿(こし)入れの途中に食べたといわれる「柚(ゆ) べし」などの和菓子、素麺(そうめん)、ジャムなど、約40店舗の特産品や加工品を展示しており、ここで目星を付け、目当ての店へ行くのもいい。各店舗の情報はもちろん、土産を取りそろえた町家交流館や宿泊施設を紹介するなど、フロントに常駐するスタッフが、要望に応じてさまざまなアドバイスをしてくれる。
黒を基調にしたモダンで洗練された建物も目を引く。外観も内観もシックな高級ホテルのように落ち着いた雰囲気を醸している。デザインを監修したのは、数多くの鉄道車両や駅のデザインで有名な、地元岡山県出身の水戸岡鋭治氏。館内のイスやテーブル、格子(こうし) の壁や天井は、水戸岡氏が手掛けた豪華寝台列車「ななつ星in九州」と同じ素材やデザインが使われているという。
「車から降りると外観の素晴らしさにパシャリ、中に入るとその豪華さにパシャリと、みなさん必ず写真を撮っていかれます」と駅長の奥野剛孝さんは誇らしげに話す。
2階には子育て世代も楽しめるよう、キッズルームも備える。2階の建物の周囲には360度見渡せる広々としたウッドデッキがあり、南は小田川、北には旧山陽道の古い町並みが見渡せる。町を眺めながらのんびりするにはもってこいだ。
文/高崎真規子
道の駅 山陽道やかげ宿
TEL:0866-63-4300
住所:矢掛町矢掛1988-10
営業:9時~17時/年末年始休
交通:山陽道鴨方ICから11キロ、または井原鉄道矢掛駅から徒歩10分
駐車場:【普通車】29台【大型車】10台
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年5月号)
(Web掲載:2023年4月18日)