650ccのバイクを相棒に、これまでに1190駅を訪問した平賀由希子さん

私が道の駅巡りを始めたのは、大型バイクに乗り始めた2007年のこと。ライダーだった勤め先の社長に影響を受け、私も大型バイクを運転したい！と思い立ち、大型二輪免許を取得した。ツーリングの途中に休憩で立ち寄った道の駅で開催していたスタンプラリーを始めたことが道の駅巡りのきっかけだった。そして何か所か回っているうちに、地域の魅力が詰まった道の駅のおもしろさに目覚めていった。旅好きだったということもあり「ツーリング＋道の駅＋旅」は、私にとって最高の組み合わせだったのだ。

道の駅というと休憩や食事、買い物で利用するというのが一般的だが、景色を楽しめる「絶景道の駅」も全国にはたくさんある。まず思い浮かべるのが北海道の「ぐるっとパノラマ美幌（びほろ）峠」。初めての北海道ツーリングの時に訪れたから余計に記憶に残っているのかもしれないが、展望台から眼下に広がる屈斜路湖を見たときは、北海道のスケールの大きさに感動した。大分県の「原尻の滝」では東洋のナイアガラともいわれる原尻の滝を見ることができる。滝つぼからの大迫力の眺めはもちろん、滝の上に架かる沈下橋から見下ろす滝も美しい。

福島県の「尾瀬街道みしま宿」には只見（ただみ）線の撮影スポットとして有名な「第一只見川橋梁（きょうりょう）ビューポイント」が隣接。私が訪れたのは紅葉の時期だったが、色づく山々と只見線の列車はまさに絵になる光景だった。島根県の「ゆうひパーク三隅（みすみ）」も鉄道の撮影スポットで、タイミング良く青い海と空をバックに走る山陰線の列車を眺められた。長野県にある絶景ロード「ビーナスライン」は、晴れた日に走ると最高に気持ちが良い。その先にある「美ヶ原高原」では、標高2000メートルから信州の山々を見渡す大パノラマを楽しめる。

全国各地のさまざまな道の駅で郷土料理やＢ級グルメを食べてきたが、中でも北海道「北前船 松前」の「松前岩のり段重」はのりの風味、食感ともに格別で、衝撃的な味わいだった。道東にある「あいおい」も忘れられない。手打ちの十割そば、自家製豆腐、オーガニック牛乳のソフトクリーム、名物「クマヤキ」とどれも絶品。そばを目当てに訪問したが、ちゃっかりスイーツまで全部（しかもクマヤキは3種も！）満喫した。熊本県の「あそ望（ぼ う）の郷（さと）くぎの」の「あか牛」もおすすめ。あか牛専門の焼き肉レストランがあり、堂々とひとり焼き肉を楽しんだ。

初夏から夏にかけて食べたいのが、山形県「鳥海」の天然岩牡蠣（がき）。自分で好きな牡蠣を選んでむいてもらえるところが良い。この道の駅の前を通ったら必ず立ち寄って食べるほどのお気に入りだ。岩手県「たのはた」の瓶入りの塩水ウニも絶品だった。白飯を買ってたっぷりとウニを載せれば、豪華ウニ丼の完成だ。

今年の春は群馬県、夏は北陸へ行こうと考えている。群馬県は今年3月21日に「まえばし赤城」がオープン。約10キロ圏内に五つの道の駅が立地する密集地帯で、周辺の道の駅も再訪したい。福井県では3月に「越前たけふ」、4月に「蓮如（れんにょ）の里あわら」がオープンした。北陸の道の駅も巡りたい。

新緑の時期は、バイクで走るのに一番気持ちが良い季節。「バイクって疲れない？」と聞かれることも多いが、青々とした木々を見ながら新緑の香りを吸い込めば、走っているだけで爽快だ。自分のチカラで旅をしている達成感もある。ただしバイクは、雨に泣かされることもしばしば。道の駅巡りの前日には晴れを願って、てるてる坊主が欠かせない。

文・写真　平賀由希子

（出典：「旅行読売」2023年5月号）

（Web掲載：2023年4月28日／6月26日更新）