【愛しの冬列車】奥会津郷土写真家・星 賢孝が撮った只見線「超絶の絶景」
第一只見川橋梁(会津桧原-会津西方駅間)
2011年7月、新潟県と福島県を襲った集中豪雨により会津川口―只見駅間が不通となっていた只見線。多くの人々の熱意と努力が実り、2022年10月に全線で運転が再開されました。ドキュメンタリー映画「只見線を300日撮る男」にもなった奥会津郷土写真家の星 賢孝さんの作品をご覧ください。星さんいわく「世界に誇る超絶の絶景」のほんの一部です。
30年間、只見線を撮り続ける星 賢孝さんの思い
福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶ只見線は、2011年の豪雨被害では三つの橋が流失するなど、沿線住民も鉄道ファンも大きな衝撃を受けたが、11年の時を経て再開に漕ぎつけた。「奇跡」とも言われた復活劇だ。
只見線を撮り続けてきた星 賢孝さんは、「当初は、とてもじゃないが復旧は無理だと私も思ったよ」と話す。「しかし、地域のみんなが只見線の将来をどうするのかを真剣に考える、良い機会になった」と前を向く。「私がSNSで只見線の魅力を全世界に発信し、海外で写真展や講演会を開いたら、世界各地から多くの観光客が来るようになった。ここには世界が注目する絶景があると、みんな気付いてくれた」。
そして見事に復活を遂げた今、「喜びは3割、これからが大変。世界に誇れる路線、観光地に育てなくちゃならないんだから」。74歳にして、年間300日、只見線を撮り続ける星さんは、会津訛(なま)りを交えながら強い決意を語った。
「私の肩書きは『奥会津郷土写真家』。だから只見線しか撮らない。高齢化が進むこの地域を活性化するには、観光で盛り上げるしかない。それには只見線を生かすこと。そう信じて30年間、只見線を撮り続けてきた」と、星さんは声を強める。
星さんが「超絶の絶景」と呼ぶ四季折々の風景をご覧あれ。「鉄道車両が写り込むことによって『風景』が『絶景』になる。『風景』に『魂』が吹き込まれる」。只見線があってこその絶景である。
写真/星 賢孝 文/渡辺貴由
(出典:「旅行読売」2023年1月号)
(Web掲載:2023年1月29日)