たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【愛しの冬列車】只見線が全線運転再開! 豪雪地帯のローカル線にもう一度(2)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 新潟県
> 只見町、金山町、柳津町
【愛しの冬列車】只見線が全線運転再開! 豪雪地帯のローカル線にもう一度(2)

湯倉温泉 旅館 鶴亀荘の露天風呂。只見川の向こうに只見線が見える。露天風呂は男性用浴場のみにあるが21時~22時は女性専用になる

 

只見線復活の原動力になった人々の熱意

【愛しの冬列車】只見線が全線運転再開! 豪雪地帯のローカル線にもう一度(1)より続く

1泊2日で只見線を旅するモデルコースのスタートは、新潟県側の小出駅。只見駅を過ぎて本名(ほんな)駅で下車し送迎5分、湯倉温泉の「旅館 鶴亀荘」に向かう。

65年の歴史がある宿の女将、吉野美喜子さんは、「只見線は本数が少ないから、列車の音が聞こえると今何時かって分かったの。それがしばらく途絶えて寂しかったけど、再開した時には只見線はまだ生きてるぞ!って、目頭が熱くなった」と話す。小さな宿なのでかつては取材などを断っていたが、只見線のためになるならばと今は歓迎。只見線が結んでくれた縁を感じた。

只見川と山に挟まれて立つ旅館 鶴亀荘。豊かな自然の中で過ごせる。1泊2食1万6650円~。℡0241-54-2724
「途中下車の旅も楽しんで」と話す女将

アクセスも良い撮影ポイント「かねやまふれあい広場」

翌日は会津川口駅で途中下車し、歩いて10分ほどの「奥会津ビューポイント かねやまふれあい広場」へ。国道252号沿いにある撮影ポイントで、車で訪れる鉄道ファンも多い。只見線は列車の本数が非常に少ないので、通過時刻は事前に必ず確認を。会津川口駅は金山町の中心部にあり、食事処もあるので安心だ。

只見線を「撮る人」「見る人」でにぎわう「奥会津ビューポイント かねやまふれあい広場」

民芸品「赤べこ」の発祥地、柳津温泉へ

会津若松駅へ向かう途中の会津柳津(やないづ)駅は、民芸品「赤べこ」にもなった福を運ぶ「赤べこ伝説」発祥の地。約1200年前に開かれた福満虚空藏菩薩圓藏寺(ふくまんこくぞうぼさつえんぞうじ)の門前に温泉街があり、ここでもう1泊してもいい。

駅から徒歩10分の花ホテル滝のや&アネックスの主人、塩田恵介さんは、只見線車内での結婚式などを企画したアイデアマン。「災害がなければ今あるようなネットワークはできなかった。沿線住民の只見線を復活させてほしいという思いを、ひしひしと感じた。今後は、おもてなしの心をもっと磨きたい」と語る。

花ホテル滝のや&アネックスの貸切露天風呂は、空いていれば自由に使える。1泊2食1万1150円~。℡0241-42-2010
福満虚空藏菩薩圓藏寺

鉄道は、鉄道会社だけの力で走る乗り物ではない。沿線の人々の熱意や希望や愛、鉄道ファンの思いを乗せて走る。只見線に限らず、ほかの多くの鉄道も同じであろう。奇跡とも言われる復活を遂げた只見線は、その象徴である。

文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝



(出典:「旅行読売」2023年1月号)

(Web掲載:2023年1月31日)

☛移りゆく車窓の景色と心地よい列車のゆれ、鉄道の旅はこちら


Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。現在、月刊「旅行読売」編集部副編集長。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

Related stories

関連記事

Related tours

この記事を見た人はこんなツアーを見ています