【青春18きっぷでできること】西日本の鉄道ミュージアムを巡る(2)
九州鉄道記念館本館の館内。赤レンガの側壁は明治時代のまま
同級生に会ったような懐かしさ
【青春18きっぷでできること】西日本の鉄道ミュージアムを巡る(1)から続く
3日目は門司港にある「九州鉄道記念館」を訪ねる。伊予西条駅から予讃線を折り返し、再び瀬戸大橋を渡るのもつまらない。そこで、別料金(3900 円)が必要にはなるが、航路を使うことにした。松山の西にある三津浜(みつはま)港と山口県の柳井(やない)港を結ぶ防予(ぼうよ)フェリーは、所要時間が比較的短く、値段もリーズナブルだ。鉄道運賃を節約した分、効率的な行程を組めるのも青春18きっぷの良いところだ。離岸の様子をデッキから眺めてセンチメンタルな気分に浸れるのも船旅ならでは。瀬戸内海に大小の島々が広がり、波静かな紺碧(こんぺき)の海原に白波を切って船は進む。柳井港まであっという間の2時間半だった。
山陽線柳井港駅は、港の目の前。黄色い普通電車にのんびり揺られて下関へ。関門トンネルを抜けて九州に上陸した。九州鉄道記念館は九州の鉄道起点である門司港駅に隣接している。関門トンネル開通以前、下関との間に鉄道連絡線(関門連絡線)があり、門司港は九州の玄関口だった。JR九州の前身である九州鉄道が、1891年に建設した赤レンガの本社屋が、九州鉄道記念館の本館になっている。
展示車両の中で特に会いたかったのが、特急「にちりん」のヘッドマークを掲げたクハ481形。「ボンネット」と呼ばれる独特なスタイルで、北海道、四国を除く各地で活躍した。筆者が生まれ育った東北地方でも走っており、保存車両はもとはグリーン車で、特急「あいづ」(上野―会津若松駅)などで使用されたという。国鉄時代の末期に九州に渡り、普通車に改造されている。
愛嬌(あいきょう)のある表情に、同級生に再会したような懐かしい気持ちを抱きながら、ゴールの博多へ向かった。
文・写真/米屋こうじ
本館に明治期の客車を展示するほか、ホーム状の車両展示場には、九州で活躍した蒸気機関車、電気機関車、寝台電車、ブルートレインなど歴代の9車両を展示。
■9時〜16時30分/不定休/300円/門司港駅から徒歩3分/北九州市門司区清滝2-3-29 ☎093・322・1006
日没後のライトアップが狙い目
明治時代から九州の玄関口、または国際航路や貿易の拠点として繁栄した門司港。当時を物語る洋館が立ち並び、観光名所となっている。日没後はライトアップされ、景観の魅力が増す。1914年竣工の門司港駅舎をはじめ、第一船だまりの水辺の夜景や、門司港レトロ展望室から見下ろす夜景は格別だ。
■ライトアップ 日没〜22時/無休/無料/☎093・321・4151(門司港レトロ総合インフォメーション)
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年7月号)
(Web掲載:2023年6月28日)