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【ごちそう民宿】温泉民宿 半右衞門(静岡・雲見温泉)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 静岡県
> 松崎町
【ごちそう民宿】温泉民宿 半右衞門(静岡・雲見温泉)

キンメ煮付けコース(1万1650円)の夕食。刺し身の「大杯盛り」は2人前。スタンダードコースは、煮魚がアコウダイやイサキなど季節の魚に替わる

 

地魚と自家栽培の野菜を使った料理にイタリアンまで!

2022年夏の台風8号で被災した松崎町雲見地区。30 軒ほどある民宿の中で特に被害の大きかった半右衞門が営業を再開していると聞き、訪ねた。

引き戸を開けるとフワリとイグサの香り。「ようこそ」と女将の髙𫞎(たかはし)雅子さんが笑顔で迎えてくれた。「ここまで水が来たんです」。見ると柱が床から
50センチほど白くなっている。泥をかき出し、床板をはがして乾燥させるなど改装に5か月を要したという。

通された1階の客室は真新しい畳が敷かれ、簡素ながら気持ちがいい。早速、ごろんと横になると、親戚の家に来たように不思議と落ち着く。

夕飯までの時間、散歩したり温泉に入ってのんびり過ごす。歩いて3分の雲見海岸は、駿河湾越しの富士山の眺めが素晴らしい。かけ流しの温泉はサラリとした湯触りで、かなりしょっぱい。湯上がりはポカポカ、肌はしっとり。いいお湯だ。

改装した1階の客室。バスタオル、浴衣、歯ブラシも用意されている
迷路のような路地の先にある半右衞門
群馬県産三波(さんば)石を使った岩風呂。座れば首まですっぽりつかるくらい深い。内風呂、岩風呂ともにナトリウム・カルシウム-塩化物泉がかけ流し
こぢんまりとした内風呂
宿から近い雲見海岸。天気が良ければ海の先に富士山が見える(写真/松崎町)

お待ちかねの夕食は古民家風の食事処で。テーブルに並んだボリューム満点の料理に「これが1人前?!すごい!」と大はしゃぎ。盛り付けが見事な「大杯(たいはい)盛り」は主人の勝元さんが担当。キンメダイ、マイカ、アジ、どの魚もうま味が濃厚だ。

雅子さんが作るキンメダイの煮付けは甘すぎず、絶妙な味付けでご飯が止まらない。グリーンピースのパンナコッタなどの前菜は、イタリアンのシェフで昨年Uターンした娘の知立(ちはる)さん作。量があっても味に変化があるからスルリと完食できる。

アワビコース(1万2150円)のアワビステーキ。軟らかく磯の香たっぷり
手前の段々畑が髙𫞎家の自家菜園
一緒に収穫し、お土産に持たせてくれたソラマメはとても甘かった
マダケの煮物やきゃらぶき、梅干し、甘夏ゼリーなど、手作りの品が並ぶ朝食。地物のアオサはご飯にのせてしょうゆを少々。磯の香りが口の中いっぱいに広がる
髙𫞎勝元さん、雅子さん、知立さんご一家

翌朝、目覚めてびっくり。あんなに食べたのにお腹が軽い。魚と野菜の食事は胃もたれしないのだなぁと実感。干物や手作りの総菜が並ぶ朝食も、ご飯をおかわりして平らげた。

「赤ん坊の頃から来ている子が、親になってまた家族で来てくれるんです」。大半が常連客というのも納得。ここはきっと、みんなの実家みたいな存在なのだ。

文/中 文子 写真/依田佳子


温泉民宿 半右衞門

TEL:0558-45-0255
料金 1泊2食1万50円〜
客室 5(トイレ共同)
風呂 内湯2、岩風呂1
交通 伊豆急行線伊豆急下田駅からバス50分、松崎バスターミナル乗り換え20分、雲見温泉下車徒歩5分/伊豆縦貫道月ヶ瀬ICから国道136号経由51キロ
半右衞門ホームページ

※掲載時のデータです

(出典:「旅行読売」2023年8月号)

(Web掲載:2023年8月1日)

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Writer

中 文子 さん

神戸生まれの大阪育ち。学生時代に旅に目覚め、アジア(おもに中国)や国内各地を探訪。旅を仕事にできたら面白そうだ!と旅行読売出版社に入社。広告課、編集部、メディアプロモーション部(広告)を経て、22年4月からメディア編集部所属。現在は、小1の壁と向き合いながら時短勤務中。温泉とお酒、楽器演奏が大好き。

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