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【家康の城へ】歴史作家・伊東潤さんと静岡駅から歩く駿府城(3)

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【家康の城へ】歴史作家・伊東潤さんと静岡駅から歩く駿府城(3)

静岡浅間神社は神部神社、浅間神社、大歳御祖神社の3社の総称。作家になる前から城巡りが趣味だった伊東さんは、静岡浅間神社背後の賤機山の山城跡にも登ったことがあるという

プロフィール
伊東 潤(いとう じゅん)
1960年、神奈川県横浜市生まれ。歴史作家。2007年に『武田家滅亡』でデビュー。2013年、『国を殴った男』で吉川英治文学新人賞、『巨鯨の海』で山田風太郎賞を受賞。過去5回、直木賞候補となる。近著に、最新史料を駆使し徳川家康と毛利輝元2人の視点で関ケ原の戦いを描く戦国歴史巨編『天下大乱』のほか、『囚われの山』『英雄たちの経営力』などがある。

 

家康の足跡をたどる寺社巡り

【家康の城へ】歴史作家・伊東潤さんと静岡駅から歩く駿府城(2) からつづく

駿府(すんぷ)城から北西へ1キロ程度の距離の賤機山(しずはたやま)には、賤機山城という山城があった。「賤機山城は駿府城の詰城、つまりいざ合戦というときに籠城するための城です」(伊東さん)。駿府に侵攻した武田軍に占拠され、その後廃城になったとされる。今回は時間的な制約で登れなかったが、この山麓には家康ゆかりの寺社が二つある。静岡浅間神社と臨済寺だ。

静岡浅間神社の境内の「どうする家康 静岡 大河ドラマ館」。ドラマ紹介や衣装・小道具などを展示。入場料は400円。2024年1月28日まで

平安時代から駿府国の総社として知られる静岡浅間(せんげん)神社を訪れた。楼閣造りの大拝殿をはじめ、精緻(せいち)な彫刻に彩られた社殿群は26棟すべてが国の重要文化財。家康は駿府平定にあたり、武田方が守っていた賤機山城を攻めるため、再建を誓って社殿を破壊。戦勝後の1586(天正14)年に、約束通りに社殿を再建したという逸話が残る。2023年1月27日に境内に大河ドラマ館がオープンした。

臨済寺は、戦国大名の今川氏の菩提寺。今川義元が住職に招いた太原雪斎は今川氏軍師として活躍した。人質時代の家康が雪斎から学問を学んだ寺として知られる。本堂は国の重要文化財
江戸時代に復元した4.5畳ほどの広さの勉強部屋「竹千代手習いの間」が残る(年2回公開)

最後は、静岡浅間神社の北にある臨済寺を参拝した。今川氏の菩提寺(ぼだいじ)であり、人質だった家康が過ごしたとされる古刹(こさつ)だ。「竹千代(たけちよ)もここを歩いたと思うと感慨深い」と真っ直ぐに延びる境内の階段を踏みしめるように上る伊東さん。寺の大書院には「竹千代手習いの間」なる一室が残されている(年2回公開)。家康は人質とはいえ、この地で読み書きや学問を学んだと伝承される。

今回は、大御所時代から壮年時代、そして幼少期の人質時代へと、家康の生涯をさかのぼる旅となった。「家康は才気にあふれた織田信長や豊臣秀吉と比べると、とても〝凡庸〟な人。今川義元のもとで耐え、豊臣秀吉のもとで耐え、最後の最後に天下を手繰(たぐ)り寄せました。この静岡の地で、家康は天下取りに必要な忍耐の大切さを学んだのです」

臨済寺の階段をゆっくり下りながら、伊東さんは静岡の旅をこう振り返った。

文/滝沢弘康(かみゆ歴史編集部) 写真/齋藤雄輝ほか

 

静岡 立ち寄りたい店&施設

浮月楼は徳川15代将軍の徳川慶喜が大政奉還後、 20年ほど暮らした屋敷があった場所で、緑豊かな約2100坪の庭園が広がる
静岡駅の近くにある明治時代創業の老舗、浮月楼。レストラン浮殿の彩り膳3700円

浮月楼(ふげつろう)

静岡駅の近くにある明治時代創業の老舗料亭、結婚式場。徳川15代将軍の徳川慶喜が大政奉還後、20年ほど暮らした屋敷があった場所で、小川治兵衛が作庭した池泉回遊式の庭園が残っている。本館3階「レストラン浮殿」では和食ランチが楽しめる。

■レストランは11時30分~14時、17時~20時(夜は要予約)/火・水曜休(日曜は夜休)、年末年始休/静岡駅北口から徒歩3分/TEL:054-252-0131

 

静岡浅間神社に参拝

静岡浅間神社

神部(かんべ)神社、浅間(あさま)神社、大歳御祖(おおとしみおや)神社の3社の総称。古くから駿河国総社として信仰され、江戸時代は近くの臨済寺に預けられていた竹千代(家康)が元服を行い、徳川家から崇敬、庇護(ひご)を受けた。江戸後期に建てられた漆塗りの社殿群は、26棟が国の重要文化財。NHK大河ドラマ放映に合わせ、境内に「どうする家康 静岡 大河ドラマ館」がオープンしている。

■参拝は7時~18時/参拝自由/静岡駅からバス8分、浅間神社または赤鳥居浅間神社入口下車すぐ/TEL:054-245-1820(大河ドラマ館は2023年1月27日~2024年1月28日の9時~17時30分/400円/無休)

※掲載時のデータです。

 

久能山東照宮。標高216メートルの久能山に、静岡県唯一の国宝建造物である本殿をはじめ朱色の社殿が並び、家康(東照大権現)を祭神に祀る
境内の久能山東照宮博物館に収蔵される、桶狭間の戦いの頃、家康が着用したと伝承される金陀美具足(きんだみぐそく)(写真提供/久能山東照宮)
境内の久能山東照宮博物館に収蔵される、東照大権現像 天海僧正賛(写真提供/久能山東照宮)

久能山東照宮

標高216メートルの久能山(くのうざん)に、静岡県唯一の国宝建造物である本殿をはじめ朱色の社殿が並び、家康(東照大権現)を祭神に祀る。「遺体は駿河の久能山に葬ること」という家康の遺言に従い、2代将軍秀忠が創建した。境内の博物館には徳川歴代将軍の刀剣や鎧(よろい)、家康の手回り品など、国宝・重要文化財230点を含む2000点以上を収蔵する。

■9時~16時50分/無休/500円(博物館は400円)/静岡駅北口からバス45分、日本平ロープウェイ下車。ロープウェイに乗り換え5分/TEL:054-237-2438

※掲載時のデータです。

 


駿府城

■御城印:あり(300円)
■入城:駿府城公園は入園自由(東御門・巽櫓、坤〈ひつじさる〉櫓、紅葉山庭園は9時~16時/月曜休〈祝日の場合は営業〉、12月29日〜1月3日休/東御門・巽櫓は200円)
■交通:東海道新幹線静岡駅から徒歩17分、またはタクシー5分
■TEL:054-251-0016(駿府城公園二ノ丸施設管理事務所)

家康メモ

大御所時代の家康の居城
元々駿府には駿河国守護の今川氏の館があり、徳川家康(幼名・竹千代)はこの地で数え8歳から19歳まで人質として過ごした。一時、武田氏に侵攻されるも、滅亡後は家康が領有し、近世城郭を築いた。1590(天正18)年、豊臣秀吉の命で江戸城に移った家康は、江戸時代に入ると将軍職を秀忠に譲って駿府に戻り、1607(慶長12)年に城郭を大改修。大御所として実権を握り、駿府は江戸と並ぶ政治経済の中心として栄えた。

 

(出典:旅行読売2023年2月号)

(ウェブ掲載2023年7月23日)

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