【ごちそう民宿】観光旅館 民宿 沖見屋(宮城・気仙沼市)
1泊2食9900円の夕食。「ここにしかないものをぜひ食べてほしい」と主人の畠山さん
東日本大震災を乗り越え、三陸の海の幸でおもてなし
三陸復興国立公園の岩井崎は、波が打ち寄せるたびにダイナミックな風景を生み出す潮吹き岩や、津波に耐えた龍の松などで知られる。その目の前にあるのが観光旅館 民宿 沖見屋だ。
「宿の名は、ここから沖まで見渡せた立地にちなみます」と3代目の畠山勝弘さん。東日本大震災の津波で全壊したが、2013年に新築し営業を再開。防潮堤が完成した現在も2階の客室から海を望み、復興の息吹を体感できる。
夕食は三陸の海の幸がテーブルに所狭しと並び、思わず歓声を上げてしまった。殻付きのウニは、皿の上でもまだトゲが動いているほど鮮度抜群。スプーンですくって口に運ぶと、濃厚なうま味と甘みが磯の香りとともに広がった。「近くに自分の
生け簀(す)を持っているので、天候が悪い日でも活か つウニが出せるんですよ」と自ら漁も料理も手掛ける畠山さんは胸を張る。
料理は季節などによって変化する。この日は軟らかいイカのような食感のマンボウの酢味噌和えや、色鮮やかなホヤと海藻・マツモの酢の物、プチプチしたマグロの卵の煮物など、旅人の多くが初めて出合う、気仙沼ならではの海の恵みが食卓をにぎわせた。食感、味ともに変化に富み、食材の特徴を生かして巧みに調理する地元の知恵にも脱帽する。
文/堀内志保 写真/堀内 孝
観光旅館 民宿 沖見屋
TEL:0226-27-2088
料金 1泊2食8800円〜
客室 6(トイレ共同)
風呂 男1、女1
交通 気仙沼線BRT陸前階上(はしかみ)駅から徒歩30分(タクシー5分、駅から送迎あり) /三陸道大谷海岸ICから国道45号経由5キロ
※掲載時のデータです
(出典:「旅行読売」2023年8月号)
(Web掲載:2023年8月2日)