【天空の紅葉旅】水上高原ホテル200(群馬・上の原温泉)
宿泊者専用の別棟・露天風呂「凛楽」の「眺望の湯」。自然の造形美と鮮やかな発色に感動する。写真右手の須原尾根を越えるとそこはもう尾瀬だ
浮遊感漂う天空の露天風呂が、あたり一面の紅葉に包まれる
群馬県みなかみ町には、谷川連峰の麓、利根川の源流部に18の温泉が点在する。町の中心部、上越線水上駅周辺の標高は約500m。そこから利根川に沿って北東へ約20km、さらに500mほど標高が増した上の原温泉に、2000m級の山々を望む水上高原ホテル200がある。スキーリゾートやゴルフ場も擁する広大な敷地は、200万坪。宿名の「200」はそれに由来する。
上の原温泉の宿泊施設は同ホテルのみ。周囲にほかの建造物は見当たらず、見渡す限り森、そして山々。秋ともなればミズナラやカエデの紅葉が加わって、日常との隔絶感は筆舌に尽くしがたい。一部に植林したカラマツを除いてほとんどが原生林というから、文字通り、手つかずの自然が織りなす錦模様が視界を埋め尽くす。
そして秋には温泉が恋しくなる。宿泊者専用の別棟・露天風呂「凛楽」は、ホテル棟から駐車場を越えた所にあり、隔絶感がさらに増す。「眺望の湯」と「白樺の湯」があり、男女日替わり制。越後の山々まで遠望する「眺望の湯」は圧巻だ。手前に錦に染まった谷が落ち込み浮遊感も加わる。遠くの山並みはモノトーンにかすんで早くも冬支度。頭上は、秋の空だけが発する澄んだ青色に染まっている。「夕日に照らされて輝く森も陰影が増して美しいです」と広報担当の北山さん。「天空」という言葉がふさわしい露天風呂である。
湯はpH9.2のアルカリ性単純温泉を加水、加温してかけ流している。飽きることのない景色にトロリとした肌触りの湯が手伝って、ついつい長湯しそうだ。
全客室から見渡す限りの紅葉が見える
客室は220室。どの部屋も大きな窓から奥利根の景色が眺められる造りで、紅葉三昧の休日が過ごせる。加えて10月16日〜27日の平日にはホテルからバスで30分ほどの照葉峡へのツアー(1000円、要予約)も開催。照葉峡へのアクセスはクルマに限られるので、公共交通機関で訪れる人に好評だ。
敷地内には全長1.3kmのフォレストジップラインがあるほか、ディスクゴルフ、白樺林を走れるカートドライブ、星空観賞会などアクティビティーが充実。子ども用の遊具もありファミリー客も多い。
ホテル名の「200」には、「200%の満足を」の意味も込められているというが、紅葉の時期にはさらに満足度が高まることだろう。
文/渡辺貴由
水上高原ホテル200
TEL:0278-75-2222
料金:2人1室1万2250円~、休前日1万5000円~
1人1室1万5550円~、休前日2万500円~
(いずれも1泊2食料金)
アクセス:上越新幹線上毛高原駅から無料シャトルバス1時間10分(9時30分・11時50分・14時55分発)、上越線水上駅から同50分(12時10分・15時15分発)、いずれも要予約/関越道水上ICから国道291号、県道63号経由19km
住所:みなかみ町藤原6152-1
※取材時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年10月号)
(Web掲載:2023年10月8日)