湯けむりが上がる温泉櫓

新潟と長野県境、山あいにひっそりと湧く松之山温泉。有馬、草津と並ぶ日本三大薬湯のひとつに数えられ、殺菌効果が高いとされる湯は、「美肌の湯」ともいわれている。

昔ながらの湯治場の風情漂う温泉街を中心に、10軒ほどの宿が並ぶ。いずれもこぢんまりとした宿で、付かず離れず、プライベートな空間と時間を大切しながらも細やかな気配
りで湯客をもてなす。コロナ禍を経て、館内の浴場を貸し切りにできる宿、仕事と休暇を組み合わせたワ―ケーションの宿も登場し、新たな「湯治場滞在」を提案している。

松之山の「食」も楽しみ。各宿では、魚沼産コシヒカリや採れたてのキノコなど里山の幸をふんだんに使った料理が並ぶ。地元のブランド豚「妻有（つまり）ポーク」を真空パックに入れ、温泉熱でじっくり低温調理した「湯治豚」も堪能したい。

秋は、温泉街を流れる渓流沿いが紅葉に彩られ、ひときわ美しい。見頃は10月下旬〜11月中旬。さらに温泉街から足を延ばしてブナ林の「美人林（びじんばやし）」へ。黄色に染まるブナに包まれながら思い思いに散策しよう。

ナステビュウ湯の山

温泉街から車で3 分ほど。男女ともに山並みを望む露天風呂が自慢。刻々と変化する景色を眺めながら、湯浴みを楽しめる。熱めとぬるめの内風呂やサウナも完備。TEL：025-596-2619

松之山温泉センター鷹の湯

温泉街の中心に立つ日帰り湯。大きく取られた大浴場の窓の外には紅葉に染まる渓流を望む。松之山温泉は塩分濃度が高く、湯冷めしにくい。TEL：025-596-2221

湯治豚

松之山温泉の名物。十日町市のブランド肉「妻有ポーク」を温泉熱でじっくり調理する。口に入れると脂がとろけ、実にうまい。宿や飲食店でオリジナルの湯治豚メニューを提供中。

醸すカフェ

2023年、温泉街の一角にオープン。「とろけるプリン」や日本酒やシェリー酒を使ったプリンが話題に。TEL：025-594-7105

湯治BAR

2022年に温泉街の拠点施設として誕生。インフォメーション、カフェ・ワークスペースを備え、夕方からはバーとして楽しめる。TEL：025-595-8588（湯治BAR・TEL：090-2386-1824）

美人林

丘陵地に樹齢約100年のブナの林が広がる。すらりとした立ち姿が美しいことから美人林と呼ばれるようになった。芽吹き、深緑、紅葉、雪景色と四季折々の表情をみせる。温泉街から車10分。TEL：025-597-3442（松代・松之山温泉観光案内所）

「昔、ここは絶好の遊び場でした。昭和期、伐採の危機を乗り越え、いまは地元の子どもたちも保全活動の輪に加わり、ブナを守っています」と髙波さん。ウッドチップを敷き林の中に入れる工夫や、車いすでも周れる道の整備も。「もっと近くで木と触れあってほしいから。ブナ林の四季を楽しんでください」

大棟山（だいとうざん）美術博物館
700年以上の歴史を誇る庄屋の暮らしを伝える調度品や書画、陶芸品などを展示。温泉街から車10分。TEL：025-596-2051

■松之山温泉へのアクセス

電車＝上越新幹線越後湯沢駅から北越急行に乗り換え、約50 分のまつだい駅下車、バス・タクシー20 分車＝関越道塩沢石打ICから約50キロ

■十日町市の観光に関する問い合せ

（一社）十日町市観光協会

TEL：025-757-3345

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（出典：「旅行読売」2023年11月号）
（Web掲載：2023年10月13日）