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【美しき天守へ】“天空の山城”備中松山城と“烏城”岡山城(2)

場所
> 岡山市,高梁市
【美しき天守へ】“天空の山城”備中松山城と“烏城”岡山城(2)

漆黒の外壁に金瓦が映える岡山城の天守は不等辺五角形の天守台に立つ 

 

山城から高梁の街並みを一望した後は、大修復が完了した岡山城へ向かう

【美しき天守へ】“天空の山城”備中松山城と“烏城”岡山城(1)から続く

「天守(備中松山城)は二層二階で、元々は八の平櫓と廊下でつながった連結式天守でした。1階には天守では珍しい囲炉裏や籠城時に城主一家の居室となる装束の間が設けてあります。装束の間の床下には石を敷き詰め、忍者などの侵入を防いだそうです」

西さんの説明で山城ならではの工夫を知る。武者窓(格子窓)から城下町を望むと、高梁の町並みが小さく見えて、我ながらよくここまで歩いて上ったと思う。城主がいれば褒(ほ)め言葉のひとつももらえたのにと思いつつ、来た道を戻ると1本の高札(こうさつ)を見つけた。〝本日の登城 大儀であった 城主〟の一文に頬が緩み、足取りが軽くなった。

南御門の脇に五の平櫓と六の平櫓、右奥に天守が立つ(写真/高梁市観光協会)
六の平櫓で待つ、猫城主の「さんじゅーろー」と観光課の西 雄大さん

下山後は岡山駅に向かい、岡山城を訪ねた。豊臣五大老の宇喜田秀家(うきたひでいえ)が築城した平山城で、1966年に再建された現天守の大修復が2022年11月に完了した。烏城と呼ばれる由来となった天守の黒い外壁も塗り直され、精悍(せいかん)さが増したようだ。城内の展示は歴史学者・磯田道史(みちふみ)さんが監修している。

山道の先で待つ備中松山城と、市街地で市民を見守る岡山城。対照的な二つの城を巡り、城の多様さを改めて知る旅となった。

文・写真/内田 晃

モデルコース(移動時間 約3時間25分)

備中高梁駅
↓ 徒歩15分
❶頼久寺
↓ 徒歩5分
❷武家屋敷
(旧折井家・旧埴原家)
↓ 徒歩10分
遊歩道入口
↓ 徒歩40分
ふいご峠
↓ 徒歩20分
❸備中松山城(天守)
↓ 徒歩20分
ふいご峠
↓ タクシー10分
備中高梁駅
↓ 電車55分
岡山駅
↓ 電車+徒歩15分
❹岡山城
↓ 徒歩+電車15分
岡山駅

※ふいご峠から備中高梁駅まで徒歩で下ると所要1時間10分。ふいご峠-備中高梁駅間に乗り合いタクシーあり。1日4往復、前日17時までに要予約。登城の際にも利用できる。TEL:0866-22-8666(高梁市観光案内所)

岡山城データ

岡山城<100名城>
築城:1597(慶長2)年頃/宇喜多秀家
種類:平山城
天守:三重六階、復元
遺構:月見櫓、西の丸西手櫓、石垣、堀ほか
入城: 9時~17時(イベントなどにより延長になる場
合あり)/12月29日~31日休/400円
御城印:あり(500円、300円)。岡山城天守地下1階売店で販売
交通:岡山駅前停留場から岡電東山線5分、城下停留場下車徒歩10分
住所:岡山市北区丸の内2-3-1
TEL:086-225-2096(岡山城管理事務所)
※掲載時のデータです。


(出典:「旅行読売」2023年11月号)
(Web掲載:2023年11月4日)

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Writer

内田晃 さん

東京都足立区出身。自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。四国八十八ヵ所などの巡礼道、街道、路地など、歩き取材を得意とする。著書に『40代からの街道歩き《日光街道編》』『40代からの街道歩き《鎌倉街道編》』(ともに創英社/三省堂書店)がある。日本旅行記者クラブ会員

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