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【ロープウェイで夏絶景へ】大パノラマを彩る奇岩と「白鉄塔」 御在所ロープウエイ(1)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 三重県
> 菰野町
【ロープウェイで夏絶景へ】大パノラマを彩る奇岩と「白鉄塔」 御在所ロープウエイ(1)

山上公園駅から徒歩約6分の富士見岩展望台。断崖の上から絶景を満喫

 

標高1212メートル、鈴鹿山脈の主峰・御在所岳へ

三重県と滋賀県の県境にそびえる御在所岳の標高は1212メートル。鈴鹿(すずか)山脈の主峰をなす名山で、山域には特徴的な奇岩が点在する。奇岩や巨石といえば、古代からのパワースポット。自然のパワーと絶景と、スリル満点のロープウェイを体験できるなら、ぜひ行ってみたい。東海や関西エリアからなら、朝出発して午前中には山麓に到着する。アクセスしやすいのも大きな魅力だ。

ロープウェイ湯の山温泉駅は標高400メートル地点にある。乗り場に並ぶと、かわいらしい赤いゴンドラが1分間隔で続々とやってきた。この日の運転台数は34両。全長2161メートル間にゴンドラが連なる光景は、まさに〝鈴なり〟だ。

空中散歩の起点となる湯の山温泉駅

「このシステムは、2本のロープを使って多数の小ぶりなゴンドラを循環させる複線自動循環式です。国内ではここと、広島県の宮島ロープウエーににのみ採用されているシステムなんです」と社員の樋口達也さん。

すぐに順番が来て乗り込む。最大10人をこまめに運び、すべての乗客が着席するので四方の窓からゆったりと展望を楽しめる。

「数日前に特別天然記念物のニホンカモシカがいたんですよ」と樋口さん

「数日前に特別天然記念物のニホンカモシカがいたんですよ」と樋口さんに聞き、下を覗(のぞ)き込むが残念ながら現れず。目線を上げるとロープウェイの支柱では日本一高い61メートルの通称「白鉄塔」が前方に迫ってきた。空の青と山の緑を背に、白光りして立つ姿が凛々(りり)しい。

その人工美に挑むように、鷹見(たかみ)岩、大黒(だいこく)岩などの奇岩が周囲の山肌に現れた。それぞれが威容を誇り、力強い。古代から存在し続ける圧巻の自然美だ。

標高約943メートル地点に立つ「白鉄塔」(6号支柱)もダイナミック
ゴンドラから眺められる奇岩の一つ、大黒岩。高さ10メートルで迫力がある

四日市の市街地や伊勢平野を見下ろしながら、高度はぐんぐん上がってゆく。ロープウェイからのパノラマだけでもすごいのに、山上からの眺望はいかばかりか。

山上公園駅に着き、駅3階にある「ロープウェイ博物館」に行く。ゴンドラを支えるロープや、建設の歴史を伝えるパネルなどの展示が興味深い。1959年の開通時には全長や高低差、客車数など世
界一の規模だったとか。高度経済成長期、御在所岳を舞台に壮大なプロジェクトが実施されたのだ。

実物のロープも展示されている「ロープウェイ博物館」(無料)
名古屋市街や常滑(とこなめ)、遠くは北アルプスも望める朝陽台(ちょうようだい)広場

続いて展望レストラン「ナチュール」で目当てのランチを。大きな窓から伊勢湾を眺めつつ、名物の「御在所カレーうどん」を食べる。もちもちした食感の伊勢うどんに濃厚なカレーが絡まり、口コ
ミの評判通りでおいしい。

施設データ

展望レストランナチュール
「御在所カレーうどん」950円。トッピングは豚の角煮。
■9時10分〜17時、食事は10時〜16時30分(12月〜3月は〜16時、食事は〜15時30分)/TEL:059-392-2261
※掲載時のデータです。

文/北浦雅子 
写真/宮川 透

【ロープウェイで夏絶景へ】大パノラマを彩る奇岩と「白鉄塔」 御在所ロープウエイ(2)へ続く(11/11公開予定)


御在所(ございしょ)ロープウエイ

全長(傾斜長):2161メートル 高低差:780メートル 最大勾配:29度 
最高運転速度:秒速3メートル 運行開始:1959年 所要時間:15分
料金:片道1500円、往復2600円
営業:9時〜17時(12月〜3月は〜16時)
休み:無休 
交通:近鉄湯の山線湯の山温泉駅から湯の山温泉・御在所ロープウエイ前行きバス10分、終点下車すぐ/新名神高速菰野ICから国道477号経由5キロ(駐車場1000円)
TEL:059-392-226

※掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2022年8月号)
(Web掲載:2023年11月10日)


Writer

北浦雅子 さん

和歌山の海辺生まれで、漁師の孫。海人族の血を引くためか旅好き。広告コピーやインタビューなど何でもやってきた野良ライターだが、「旅しか書かない」と開き直って旅行ライターを名乗る。紀伊半島の端っこ、業界の隅っこにひっそり生息しつつ、デザイナーと2人で出版レーベル「道音舎」を運営している。https://pub.michi-oto.com/

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