地域に根ざした魅力がいっぱい 都心からも近い“第二の故郷”【群馬県千代田町】
利根川河畔の平地に広がる群馬県千代田町は立派なお寺や珍しい渡船が残っている。知る人ぞ知る町の魅力を訪ね歩いた。
群馬県邑楽(おうら)郡千代田町と聞いてピンと来る人がいたら、相当な旅好きだろう。失礼ながら多くの方が「どこ?」と聞き返すであろうこの町は、実は、多様な見どころ・遊びどころに満ちている。
町は群馬県の南端にあって利根川に接し、対岸は埼玉県。川を渡る橋は上・下流ともやや遠く、それゆえ対岸への赤岩渡船が今も現役だ。県道扱いであくまでも道なので、係に声を掛けるだけで誰でも無料で
乗船できるのが面白い。そんな土地柄ゆえ、都心からも近いのに地域に根ざした素朴な文化が息づいている。
お勧めしたい宿は寳林寺(ほうりんじ)のTEMPLE STAY ZENŌ。1日1組だけの宿で、町唯一の宿泊施設でもある。坐禅や写経、庭でのバーベキューなど、個性的な宿泊体験ができるとあって外国人観光客にも人気が高い。立派な構えのお寺は他にもあり、光恩寺もぜひ訪ねたい。
また、一帯には田畑が多く、造園業や金魚・メダカの養殖業も。多くが首都圏へ出荷されるそう。
700年の歴史を持つ寳林寺にある平屋の離れの1棟貸し。14畳の和室とダイニングスペースがあり、液晶テレビやオーディオ、コーヒー焙煎豆なども用意。寺での各種体験、ピザ窯を使ったピザ作りなども楽しみ。
2名1棟貸し2万4000円〜(清掃費込み)
利根川とともに歩む町だけに河畔の遊びもお勧めだ。赤岩渡船周辺の広い河川敷はルールを守れば自由に使え、キャンプや水上アクティビティのファンに知られている。土手をサイクリングするのも楽しいし、お腹が空いたらうな重や天丼などの人気店も近い。
地元の人は素朴で穏やか。渡船がほどよく都会と距離を置いたのか、「都心から最も近い第二の故郷(ふるさと)」と呼びたい素敵な旅先だ。
食べるならココ!グルメの店3選
新田家
創業170年を誇る老舗割烹。小説家の田山花袋も滞在したという。長年タレを継ぎ足してきたうな重が名物。写真は上うな重(3100円)。
■11時〜14時30分、17時〜19時30分/月曜休/TEL:0276-86-2008
石田食堂
ランチの利根川天丼(1150円)は利根川の雄大さを大きな穴子や2尾のエビなどで表現。数量限定なので、早めの訪問を。
■11時〜14時、17時〜20時/火曜休/TEL:0276-86-5095
そば処 いま泉
店主の趣味が高じて開いたそば店。北海道・音威子府産のそばは喉ごしすっきり。もりそば(700円)と桜エビのかきあげ(550円)。
■11時30分〜14時30分/土・日曜のみ営業/TEL:0276-86-4326
変化に富んだ見どころ イチ押しスポット
植木の里
町内の造園業で栄える一画は植木の里と呼ばれ、「フットパスオープンガーデン」の看板がある敷地は自由に見学できる。写真は高菊造園。
赤岩渡船
全国的にも珍しい県道扱いの渡船。遊覧船ではないが、誰でも自由に対岸に渡れる。渡船の事務所脇にレンタサイクルがあり、電動アシスト自転車を無料で貸し出している。
■8時30分〜16時30分(夏季は〜17時)/無料
山川酒造
清涼な地下水と厳選された酒米で造る日本酒「利根川育ち」や「光東」。酒蔵併設の売店や町内の酒販店、インターネットなどで購入できる。
TEL:0276-86-2182
ちよだ着物コレクション
2022年に始まった光恩寺境内で行われる着物ショー。好評を受けて、2023年9月に2回目を開催した。一般モデルたちが色とりどりの和服姿でランウェイに見立てた境内を歩いた。十二単(じゅうにひとえ)の着付けや花魁(おいらん)道中、ライトアップやキャンドルナイトなども行った。
【交通】東武伊勢崎線川俣駅から千代田町役場前行きバスで約30分。またはJR熊谷駅からバス30分葛和田下車、赤岩渡船利用で対岸の赤岩バス停まで約15分。車=東北自動車道羽生ICまたは館林ICから約30分
【問い合わせ】千代田町産業観光課商工観光係/TEL:0276-86-7005
※料金等すべて掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2023年12月号)
(Web掲載:2023年11月20日)