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【旅と駅弁・駅麺】駅麺ライター 鈴木弘毅さんが選ぶ駅麺その② 桃中軒<三島駅>

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 静岡県
> 三島市
【旅と駅弁・駅麺】駅麺ライター 鈴木弘毅さんが選ぶ駅麺その② 桃中軒<三島駅>

コロッケがつゆに合う。みしまコロッケそば

 

アツアツでホクホクのみしまコロッケは、なんと揚げたて

東海道新幹線、東海道線、伊豆箱根鉄道駿豆(すんず)線の3路線が乗り入れる三島駅。こだま号が通過待ちのために長く停車する新幹線ホームと、在来線の上りホームに桃中軒の店舗がある。サバ節、カツオ節などを使った秘伝のブレンドで毎日だしをとる。いい匂いが漂ってきた。

イチ押しは「みしまコロッケそば」。箱根の西麓で収穫したメークインを使った、ご当地グルメ「みしまコロッケ」を載せた一杯。伝統のコクのある濃い目のつゆが、コロッケの衣に染み込んで絶妙な味を演出する。コシのある麺は御殿場にある勝又製麺のものを長年使っている。

交通の要衝で息づく伝統の味

桃中軒の歴史は古い。東海道線が国府津(こうづ)から箱根の山を越え、静岡駅まで延伸した2年後の1891年、沼津駅の弁当業者として創業した。当時の東海道線は、現在の御殿場線経由で、沼津駅は箱根越えに必要な補助機関車の連結・解放作業で列車が長く停車。明治末期に発売開始した「鯛めし」が名物で、駅弁はよく売れたという。

三島には鉄道駅がなかったが、1934年12月、丹那トンネルの完成で東海道線が熱海経由となり三島駅が開業した。桃中軒が三島駅構内に店舗をオープンさせたのは、戦後のレジャーブームが到来した62年になってから。三島駅は西伊豆の玄関口として大いににぎわった。調理
を担当する店員の相馬繁博さんは、「ホーム独特の雰囲気も味わってほしい」と話す。同時に東海道線の歴史も味わってみようと思った。

文/米屋こうじ
写真/米屋こうじ ほか

 

駅麺ライター/鈴木弘毅さん
東海道線上り列車が発着する3・4番線ホームの店舗
ホームの雰囲気も味わいながらの一杯
ベテラン店員の相馬繁博さん
きつねそばにもナルトが3枚載る

桃中軒   ▶リンク
店舗:東海道線・東海道新幹線三島駅改札内(新幹線5・6番線ホーム、在来線3・4番線ホーム)
営業:新幹線ホーム11時〜14時45分、17時〜19時 在来線ホーム8時〜9時30分、10時45分〜14時/無休(臨時休あり)
TEL:055-975-2828
※掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2023年12月号)
(Web掲載:2023年12月12日)


Writer

米屋こうじ さん

1968年、山形県生まれ。鉄道カメラマン。鉄道と人々の結び付きをテーマに日本と世界の鉄道を取材撮影。著書に『ひとたび てつたび』『I LOVE TRAIN-アジア・レイルライフ』(ころから)など

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