【旅と駅弁・駅麺】ダーリンハニー吉川正洋さんと行く「東海道日帰り駅弁・駅麺の旅」(1)
「地元の素材を生かした弁当を」と2000年から販売する「武士のあじ寿司」。吉川さんも絶賛の味だ
よしかわ・まさひろ
1977年、東京都生まれ。お笑いコンビ「ダーリンハニー」で活動。鉄道通の芸人としてイベントやトークショー、NHK「鉄オタ選手権」やCS鉄道チャンネル「新・鉄道ひとり旅」に出演。著書に『ダーリンハニー吉川の全国縦断鉄博巡り』(メタモル出版)。
駅や路線ごとに個性が違う。土地の食が味わえる駅弁
「鉄オタ芸人」の吉川さんは、駅弁も大好物だ。これまでに何度も味わったお気に入りの品の中から「一度につなげて食べてみたかった」という東海道の駅弁・駅麺をピックアップして食べ歩いてもらった。
朝、東京駅の「駅弁屋 祭」に集合。店内いっぱいに並べられた駅弁から、吉川さんがセレクトしたのは「大船軒サンドウヰッチ」だった。修善寺行きの特急踊り子号に乗り込むと、早速、フタを開ける。鎌倉ハム入りが4切れ、チーズ入りが2切れ。「子どもの頃に食べていたシンプルな味。初心を思い出すので旅の始まりにはぴったりなんです」と気合がこもったコメントだ。
駅弁の魅力について、「駅や路線ごとに個性が違う。土地の食が味わえるし、好みの味に出合った時は〝パーミル〟が上がるんです」と独特の表現で熱弁を振るう。〝パーミル〟とは鉄道用語で勾配の値を表す単位のことで、水平に1000メートル進むごとに何メートル上るかを示す。つまり、この場合は「興奮が高まる」という意味になる。
終点の修善寺駅に着くと、一目散に駅前の「舞寿(まいず)し」へ。調理場では、店主の武士東勢(たけしとうせい)さんが息子の勢(ちから)さんと自慢のあじ寿司をこしらえていた。「鉄オタ仲間の口コミで聞いて初めて食べに来た時は、あまりの新鮮さに度肝を抜かれた」と吉川さん。東勢さんによると、アジは沼津の市場から当日中にさばける量だけ仕入れており、土・日曜で100食強が売れるという。「販路拡大しないから、ここでしか食べられない。遠くから食べに来てくれるお客さんもいます」と目を細める。修善寺駅構内の店では、90歳になった東勢さんの母ひさ子さんが元気に店番をしており、家族が力を合わせて切り盛りしている。
駅前のベンチに腰を下ろし、じっくりと味わう。「主役はもちろんアジですが、薬味とのコンビネーションが秀逸。ワサビ、ショウガ、桜葉の脇役が実にいい味を出している」。吉川さんの〝パーミル〟はさらに上がったようだ。
文/山脇幸二
写真/阪口 克
【旅と駅弁・駅麺】ダーリンハニー吉川正洋さんと行く「東海道日帰り駅弁・駅麺の旅」(2)へ続く(12月1日公開予定)
【日帰りモデルコース】
東京駅
↓ 9:00発
特急踊り子3号
↓ 11:08着
修善寺駅
↓ 12:35発
特急踊り子8号
↓ 13:01着
三島駅
↓ 13:09発
東海道線
↓ 13:34着
富士駅
↓ 14:34発
東海道線
↓ 17:05着
新所原駅
※土曜、休日用ダイヤ
伊豆の新鮮な海の幸を豪快に盛り付けた駅弁
<武士のあじ寿司>
●1500円【修善寺駅】伊豆箱根鉄道駿豆(すんず)線/TEL:0558-72-2416【舞寿し】 ※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年12月号)
(Web掲載:2023年11月30日)