【旅と駅弁・駅麺】駅麺ライター 鈴木弘毅さんが選ぶ駅麺その③ 駅そば榑木川 松本駅店
山菜そば730円は、なめこ、こごみ、わらびなどがたっぷりのる ※掲載時のデータです
自社開発の冷凍麺は香り高く、そばらしい素朴なかみ心地
長野駅、茅野(ちの)駅、信濃大町駅にも出店する「駅そば榑木川」の第1号店。長らく松本駅1番ホームの階段脇で営業してきた「そば処山野草」の店舗をリニューアルして、2021年から営業を開始した。
運営は松本市に本店を構える本格手打ちそば店の榑木野。そばは長野や北海道の農家に契約栽培してもらい、野菜は自社農園の朝採りを使う。
「一般的な駅そばは、そばの比率が3〜5割です。そこで、当店は8割そばに挑戦しました」と同社のスタッフは話す。
本格8割そばを駅そばで提供
開発では、駅そばゆえの課題に悩まされた。駅そばは短時間での提供が求められる。いち早く冷凍麺の採用が決まったが、8割そばを冷凍すると切れやすくなるため、そば粉のブレンドを工夫するなど、試行錯誤を重ねたそうだ。
完成したそばは、表面に黒い粒子が浮かぶ甘皮入りで、切り口の角が立ったやや細切りになっている。かめば香りが立ち、スッと落ちるのど越しもたまらない。
スープは、本節、宗田節、うるめイワシ、サバ節、ウルイ、利尻昆布のだしが使われ、奥行きのある味に仕上げてある。同社も〝飲み干せるほどおいしいつゆ〟と胸を張る。
定番のかき揚げ、山菜などに加え、信州ならではの具材もそろえている。たとえば、鹿肉きのこ。鹿肉は信州ジビエとして注目される食材で、臭みはなく、軟らかくて食べやすい。自家製チャーシューの入った新メニュー「肉そば」も好評だ。
文/内田 晃
写真/内田 晃 ほか
駅そば榑木川 松本駅店
店舗:篠ノ井線・中央線松本駅改札内(篠ノ井線1番ホーム)
営業:7時20分〜19時10分/無休
TEL:0263-31-5321(榑木野)
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年12月号)
(Web掲載:2023年12月13日)