【旅と駅弁・駅麺】九州駅弁グランプリの受賞駅弁を1日で満喫(2)
球磨(くま)川橋りょうを渡る九州新幹線700系「さくら」。700系は「つばめ」としても運用される
ローカル列車と新幹線で九州縦断
【旅と駅弁・駅麺】九州駅弁グランプリの受賞駅弁を1日で満喫(1)から続く
嘉例川(かれいがわ)駅の木造駅舎は鹿児島県で最も古いものだ。駅の木のベンチにて駅弁「花の待つ駅 かれい川」を味わった後、肥薩線の普通列車に乗って隼人(はやと)駅を目指す。車両はキハ40形、国鉄時代の昭和50年代に製造されたディーゼルカーなのでこれまた古い。一方、隼人駅で乗り換えた日豊線の各駅停車は、銀色に輝くピッカピカの新型電車817系であった。窓はワイドで座席は本革。つり革も円形でおしゃれな電車である。
各駅停車といえどもJR九州の列車は個性的で実に楽しい。進行方向左側の車窓に噴煙を上げる桜島を眺めながら鹿児島中央駅に到着した。
鹿児島中央駅では準グランプリを受賞した「わっぜぇうまか!!薩摩黒膳弁当でごわす。」を購入する。まずは、この長いネーミングがユニークだ。それもそのはず。考案したのは鹿児島大学黒膳研究会の皆さんなのだ。二段重なのでボリュームたっぷりに見えるが、黒豚、黒米、黒酢など鹿児島の黒い食材を集めたカロリー控えめの駅弁なのである。価格も二段重で980円は実にリーズナブル。
鹿児島中央駅からは九州新幹線「さくら」と「つばめ」を乗り継いで新玉名駅にて途中下車する。同駅の名物駅弁が準グランプリを受賞した「山菜とりめし」だ。玉名市の老舗日本料理店「たがみ」謹製で、山菜寿司の上に鶏肉煮込みをトッピングした駅弁である。
鶏肉は熊本産で脂抜きしてヘルシーに仕上げ、秘伝のタレで長時間煮込んでいるので、すこぶる軟らかくておいしい。しかも750円という価格は、思わず土産にもう一つ買いたくなるほど。九州の駅弁はどれもこれもおいしくてコスパも最高である。まっこと、うんまかー!
文・写真/櫻井 寛
【日帰りモデルコース】
嘉例川駅
↓ 12:53発
肥薩線
↓ 13:10着
隼人駅
↓ 13:13発
日豊線
↓ 13:48着
鹿児島中央駅
↓ 14:17発
九州新幹線
↓ 15:03着
熊本駅
↓ 15:20発
九州新幹線
↓ 15:30着
新玉名駅
↓ 16:00発
九州新幹線
↓ 16:39着
博多駅着
※土曜、休日用ダイヤ
山菜とりめし
◉750円【新玉名駅】九州新幹線/TEL:0968-73-2628(日本料理たがみ)※掲載時のデータです。
こちらも食べたい!
かしわめし(東筑軒)
昔ながらの経木の折箱を使用。鶏スープの炊き込みご飯の上に、水分がなくなるまで煮詰めた鶏肉、錦糸卵、刻みのりがのる。折尾駅、博多駅「駅弁屋」などで販売。880円。※掲載時のデータです。
第14回九州駅弁グランプリとは?
エントリーされた九州各県の対象駅弁の中から、お客様投票によってグランプリが決まるイベントで、筆者の櫻井寛さんも特別審査員を務める。2004年に始まり、今年で14回目を迎える。
参加方法は簡単。対象店舗でエントリーされている駅弁を購入し「投票シール」の2次元コードにアクセス。味やこだわり、盛り付けやパッケージ、価格などを5段階で評価。さらに決勝大会で特別審査員の点数を加え、グランプリを決定する。第14回の投票締め切りは2024年2月11日。詳細はこちら。
(出典:「旅行読売」2023年12月号)
(Web掲載:2023年12月19日)