富士の絶景を求めて、写真愛好家も集う人気の道の駅富士川楽座

南アルプスに端を発し、駿河湾に注ぐ富士川。かつて舟運で栄え、川沿いは日蓮宗の聖地・身延山の参詣道として多くの善男善女が歩いた。そんな歴史の道をたどってみた。

富士川は内陸部の交通路として江戸時代から300年以上もの間、舟運によって大いに栄えた〝川の道〞だ。また中流に身延山久遠寺（くおんじ）があることから、国道52号をはじめとする川沿いの道は、古くから参詣者が歩く「身延道（みのぶみち）」と呼ばれた。その道をたどる「富士川・身延道ロマンルート」は、歴史ある寺院や景勝地、味処、温泉などが点在し、バラエティー豊かに楽しめる。

富士駅（特急は静岡駅始発）から甲府駅を結ぶ身延線もあるが、今回は東海道新幹線新富士駅からレンタカーを利用して、「富士川・身延道ロマンルート」をたどってみた。

東名高速と一般道からアクセスできる道の駅富士川楽座は、富士山を堪能できる絶景スポット。目前には雄大な富士山がドーンとそびえ、見通しのよい日は展望ラウンジの大きな窓から、絵画のように優美な姿を望むことができる。買い物や食事とあわせて立ち寄り、その美しさをじっくりと堪能してみたい。

富士市の北西に車を進めると、やがて住宅街の中に日蓮宗の霊跡本山實相寺（じっそうじ）が現れる。鳥羽法皇の勅願寺として創建、日蓮聖人が入寺し、ここで立正安国論の構想を練った。そののち、天台宗から日蓮宗に改宗した。由緒ある霊跡ながら、近所の子供たちが笑い合いながら石段を駆け上る姿に、どこか昔懐かしい寺院の姿を思い起させる。72世・小松浄慎（じょうしん）貫首は「宗派にこだわらず、ここに来て、空気を感じてみてほしい。感じ方はそれぞれでいいんです」と優しく語りかける。

道の駅富士川楽座
レストランやフードコート、カフェ、テイクアウトのショップなど、多彩な静岡グルメが魅力だ。プラネタリウム、科学館なども併設（有料）。
■静岡県富士市岩淵1488-1／9時～20時（施設ごとに営業時間が異なる）／無休、有料施設は火曜休（不定期の休業あり）／TEL：0545-81-5555

實相寺
緑豊かな岩本山の山腹に、本堂、祖師堂、一切経蔵などの堂宇が点在。国家の繁栄と安泰を願い建立された、本堂前の日蓮聖人像がシンボルだ。
■静岡県富士市岩本1847／境内自由／TEL：0545-61-0909

無上帑（むじょうどう）
伝統的な日本家屋の様式で建築された喫茶。薪ストーブが燃え、ジャズが流れる店内で、自慢のおしるこ（720円）でホッとするひとときを。
■静岡県富士市南松野247／11時～15時（土・日曜、祝日～16時）／木曜休（臨時休あり）／TEL：0545-69-3588

ユー・トリオ
上稲子川畔にある日帰り温泉。泉質は含硫黄―カルシウム・ナトリウム―塩化物温泉。入浴後は肌がすべすべになると評判。座敷やテーブルのある休憩所も完備する。足湯やバーベキュー場を併設。
■静岡県富士宮市上稲子1219／1日820円、1時間30分510円（延長1時間200円）／10時～18時30分（最終受付）／木曜休（祝日の場合翌日休）／TEL：0544-66-0175

自然を満喫してみたい。道の駅富士川楽座では電動アシスト付きのクロスバイクやミニベロをレンタルできる。1日1200円（10時～16時※ヘルメットの貸し出しあり）。またサイクリングのおすすめ周遊コースは、「富士川・身延道ロマンルート」のホームページでも紹介している。

わたしのこだわり旅　「富士川・身延道ロマンルート」　参詣と舟運で栄えた歴史道をゆく（2）へ続く

INFORMATION
【富士市方面へ】
◎列車=東海道新幹線新富士駅、または身延線富士　駅を利用。
◎車=東名高速富士ICまたは富士川スマートICを利用。
【身延山久遠寺へ】
◎列車=身延線身延駅からバス12分、身延山下車
◎車=中部横断道下部温泉早川IC、または身延山ICを利用

●問い合わせ
富士山観光交流ビューロー／TEL：0545-64-3776
富士宮市観光協会／TEL：0544-27-5240
南部町産業振興課／TEL：0556-66-2111
身延山観光協会／TEL：0556-62-0502

※料金等すべて掲載時のデータです。

（出典：旅行読売2024年1月号）
（Web掲載：2024年2月13日）