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【桜の咲く駅へ】中央線・身延線で巡る山梨桜回廊(3)身延山久遠寺

場所
> 身延町
見頃
3月下旬~4月上旬
【桜の咲く駅へ】中央線・身延線で巡る山梨桜回廊(3)身延山久遠寺

降るように、流れるように花を付けるシダレザクラ。風にそよぐ様も風流だ

 

門前の宿に泊まり朝のお勤めに参加

【桜の咲く駅へ】中央線・身延線で巡る山梨桜回廊(2)山高神代桜から続く

夕暮れ迫る實相寺を後に、中央線を甲府駅まで戻り、身延線に乗り換えて南へ向かう。身延駅で降りて、日蓮宗総本山身延山久遠寺の門前に宿をとる。桜回廊の締めくくりは、久遠寺の境内に咲くシダレザクラだ。

門前に泊まれば、久遠寺本堂での朝のお勤めにも参加できる。午前6時から(4月~9月は5時30分から。開堂は30分前から)で、参加は無料。夜明け前は春とはいえ冷え込む。凛(りん)とした空気に包まれて仏様に手を合わせて祈り、感謝する時間は、信教や宗派を超えて、自分と向き合える貴重なひと時だ。

40分ほどのお勤めを終えて本堂から出ると、境内は昇ったばかりの朝日に照らされてオレンジ色に包まれている。人影まばらな境内で満開の桜を見られるのはご褒美だろうか。

有名なシダレザクラは、祖師堂前と仏殿前の2本。境内には桜の木が多くあるが、この2本はひときわ大きく枝ぶりも見事だ。いずれも樹齢400年である。

修行僧が全身を駆使して撞木をつく大鐘。朝は5時(冬は5時30分)、夕方は17時につく
荘厳な雰囲気の朝のお勤め(取材 許可を得て撮影)

修行僧が全身を駆使して撞木をつく大鐘、荘厳な雰囲気の朝のお勤め(取材 許可を得て撮影)の動画をご覧いただけます。

神仏が枝を伝う聖地のシダレザクラ

こんな話を聞いた。霊山や聖地と言われる場所には、古来、シダレザクラが多い。その理由は、先祖の霊や仏様、神様は高い所にいて、我々人間の世界まで降りてきてもらうには、伝うものが必要。そのために天から地上まで枝を垂らすシダレザクラを植えたのではないか。柳が多いことも同様……。桜に先祖の霊や神仏を重ね見る。時にはそんな見方があってもいい。

境内から身延山ロープウェイに乗ると、標高1153メートルの身延山頂までは片道7分。山頂には、日蓮聖人が故郷と両親を思って建てたという奥之院思親閣などがある。ロープウェイからはピンク色に染まった山肌や境内を見下ろせるので、ぜひ足を延ばしてほしい。また2023年は身延山開創750年の節目でもあり、以前のにぎわいがもどりそうだ。

文/渡辺貴由

身延山ロープウェイから見た西谷の桜

旅館田中屋

旅館田中屋は、久遠寺の三門まですぐの場所にあり、花見や参拝に便利。江戸時代から旅人の疲れを癒やしてきた。夕食は甲州富士桜ポーク、身延特産の湯葉などが味わえ、ボリュームたっぷり。久遠寺の朝のお勤めに参加する場合は無料で送迎する。

■1泊2食1万4300円~/身延駅から送迎10分(要予約)/℡0556・62・1035 ※掲載時のデータです。

 

客室は人数に応 じて大小11室を用意
大浴場もあり人工のラジウム泉を注ぐ

身延山久遠寺

見頃:3月下旬~4月上旬

身延山久遠寺は鎌倉時代、日蓮聖人が開いた日蓮宗の総本山。境内では樹齢400年と伝わるシダレザクラが満開の枝を揺らす。町内にはほかにも古木や名木が多く、門前町全体がピンク色に染まる。

■5時30分~17時(4月~9月は5時~)/無料/身延駅からバス15分、身延山下車徒歩20分/℡0556-62-0502(身延山観光協会)

 

(出典:「旅行読売」2023年4月号)

(Web掲載:2023年3月29日)

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Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。現在、月刊「旅行読売」編集部副編集長。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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