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【旅する喫茶店】コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ(横浜)

場所
> 横浜市
【旅する喫茶店】コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ(横浜)

アンティークな雰囲気の店内。天井のブドウをモチーフにしたイラストも聖書からのもの

 

パリの宮殿をイメージしたレトロ空間

2021年放送のドラマ「名建築で昼食を横浜編」で、名建築巡りが趣味の主人公がこの店に寄るのを見て、来てみたかった。1947年、ビルの竣工とともに開業した店は半世紀前の昭和の時代の薫りに満ち、開港記念会館やホテルニューグランドなど港町らしい歴史的建物が残る横浜歩きの休憩地としてぴったりだ。

西洋の甲冑(かっちゅう)が立つ入り口を入ると、ランタン風の照明の下に古い木製のイスと机が置かれ、壁に印象派の絵画が飾られたアンティークな空間が広がる。奥の特別室の個性は強烈だ。シャンデリア風の照明に、店のシンボルであるカトレアのタイル画、ステンドグラスと噴水など、宮殿や城をイメージした内装は類を見ない。

壁に記された言葉「光ナキ人ニ光ヲ」が目を引く。「聖書を学んでいた初代オーナーの哲学が根底にあります」と、開業時から働く猪瀬煕子(よしこ)さん。「〝パリの光〞という店名も、安らぎの場、活力を与える場でありたいという思いから付けたそうです」

最高級品という意味で学問の最高学府になぞらえ「大学院」と付けた。1杯に通常の倍近い20グラムの豆を使う、厚感のあるコーヒーをゆっくり飲む。初代はパリへ行ったことはなかったが博識で、聖書などから育んだイメージを一つずつ具現化した。その願いの強さが「時々この店に守られているような気がします」と猪瀬さんがいう無二の空間を生んだ。

文/福﨑圭介 写真/齋藤雄輝

西洋の全身甲冑が飾られている入り口
シャンデリアや大理石のテーブル、壁のタイル画などが特徴的な豪華な特別室。以前は通常席より高額なメニューだったが現在は同じ
ベーコンや焼き豚、トマト、レタスを挟むアメリカンクラブハウスサンドウイッチ1300円と、サイフォンでいれるブレンドコーヒー590円(近日値上げ予定)

コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ

神奈川県横浜市中区相生町1-18
TEL:045-641-7750
営業:10時~L.O.17時(土曜、祝日は10時30分~)/日曜休
交通:みなとみらい線日本大通り駅から徒歩5分、または根岸線関内駅から徒歩7分

※掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年1月号)
(Web掲載:2024年2月25日)


Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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