【旅する喫茶店】コンパル大須本店(名古屋)
系列店の中で昭和の時代の雰囲気をもっともよく残すという大須(おおす)本店の店内
サンドイッチが美味な名古屋の老舗
個性豊かな喫茶店がひしめく名古屋で、戦後すぐの1947年創業という歴史を持つコンパルは、正統派の趣がある。市内8店舗のうち、最初にオープンした大須本店は、昭和の雰囲気が残ると聞いて訪れた。
店は戦前から当地を代表する繁華街だった大須観音に続くアーケード街の万松(ばんしょう)寺前にある。始業直後の店内には、すでにコーヒー片手に新聞を広げる客の姿。アンティーク調のランプの下、板張りの壁の油絵や、ビロード生地を張り替えて使ってきたソファが並ぶ、ほぼ48年に移転してきた当時のままという空間が広がる。
「お客さまと距離が近いのがコンパルの良さです」。そう語る店長の播磨(はりま)良明さんは学生時代にアルバイトで入り、そのまま就職。別の店舗で経験を積んだ後に大須本店に戻り、常連さんとの再会を喜んだという。市外に店を出さないのは「各店の食材を作るセントラルキッチンの配送範囲から外れるから」という言葉からも地元ファーストの方針がわかる。
人気メニューは60年から出している種類豊富なサンドイッチ。中でも後発のエビフライサンドは、焼き目を付けた香ばしい食パンに歯応えの良いエビフライと千切りキャベツ、卵焼き、自家製ソースを挟み、一口食べれば、評判の理由が名古屋らしさだけではないとわかる。定番のカツやチキン、ミックスも食べてみたくなった。名古屋出張時のリピート確定だ。
文・写真/福﨑圭介
愛知県名古屋市中区大須3-20-19
TEL:052-241-3883
営業:8時~L.O.18時45分/元日休
交通:地下鉄鶴舞線・名城線上前津駅から徒歩5 分
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年2月号)
(Web掲載:2024年3月29日)