【旅する喫茶店】はまもとコーヒー(姫路)
L字形の大理石カウンターや壁の世界地図が特徴的な店内
姫路名物のアーモンドトーストを
姫路城を回って歩き疲れ、この店にたどり着いた。姫路駅から城へまっすぐ延びる大手前通り、その一本東のアーケード街のみゆき通りにある。大理石のカウンター内で、機敏な動作で店員がサイフォンを扱い、コーヒーをいれる。壁の世界地図やブラジルの農園を描いた銅版画などに、昭和の懐かしい雰囲気を感じる。
姫路の喫茶店の中では古い。当地で八百屋(やおや)を営んでいた1975年、スーパーが進出してくるのを機に業態を変えた。それから半世紀、こだわりのコーヒーを提供してきた。「八百屋同様、喫茶店は素材が大事。新鮮な豆を浅煎(い)りにして、コーヒー本来の苦味、酸味、甘味を大切にしております」と2代目社長の濵本卓弥さん。約30年前から200回以上、季節をイメージしたオリジナルブレンドを四季ごとに出してきた。
コーヒーには姫路グルメのアーモンドトーストが合う。アーモンドパウダー・ダイス(粒)を塗って焼き上げたトーストは、ナッツの香ばしさと甘さが疲れた体に染み入るよう。
朝は飲み物にパンとゆで卵が付く。「姫路は海岸に工場が並ぶ工業の町。昔は工員さんが通う喫茶店がぎょうさんあって、モーニング文化は夜勤明けの人が利用しとったからです」と濵本さん。最近は「いつもの」で通じる常連客と、城目当ての若い観光客、外国人が入り交じるという。町と共に生きてきた店は、その町の歴史を映している。
文・写真/福﨑圭介
住所:兵庫県姫路市二階町49
営業:7時~ L.O.17時30分/木曜休(祝日の場合は営業)
交通:山陽新幹線姫路駅から徒歩8分
TEL:079-282-2233
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年11月号)
(Web掲載:2023年11月30日)