たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【旅する喫茶店】喫茶チロル(京都)

場所
> 京都市
【旅する喫茶店】喫茶チロル(京都)

木を多用した温かみのある店内。現在は観光客も多いそう

 

ドラマで話題になった山小屋風の一軒

二条城から南へ歩いてすぐ、御池(おいけ)通沿いの喫茶チロルは、秋岡さん一家が家族で営むアットホームな店だ。山好きの先代が山小屋をイメージし、1968年に夫婦で開業した。木製シャンデリアなど店内は木の温かみがあり、赤黒のストライプのひさしや鉄製の窓飾りに欧風の愛らしさも漂う。

「大工だったおじが京都中を駆け回って装飾を考え手掛けました。おばがデザインした看板とマッチも好評です」と先代にあたる父から店を継いだ2代目の秋岡誠さん。

外観
二条城から徒歩7分ほど。隣は神泉苑
オリジナルのかわいらしいデザインのマッチとポストカード

コーヒーはUCCから指導を受けた父の味を受け継ぐネルドリップ。昔ながらの濃厚な味わいで、後に残る香りがなんとも豊かだ。オムレツ風のふわとろの厚焼き玉子を挟んだ玉子サンドや自家製カレーとも相性が良い。かつてビジネスマンの憩いの場としてにぎわったというが、1997年の地下鉄東西線開通で人の流れが変わって客足が遠のき、一時は店を畳むことも考えたとか。

けれども2011年、常連の劇団員が制作したドラマ『タクシードライバー祇園太郎』がNHKで放映され、主人公のなじみの店として作中に登場してファンが訪れるように。懐かしい雰囲気に魅了され、新しい客が増えたという。そんな歴史とともに、この可愛らしい店で秋岡さん一家のおもてなしの心を感じたい。

文・写真/児島奈美

グルメ
玉子サンドとブレンドコーヒー400円

喫茶チロル

住所:京都府京都市中京区門前町539-3

交通:地下鉄東西線二条城前駅から徒歩4分、山陰線二条駅から徒歩7分

TEL:075-821-3031

(出典 「旅行読売」2021年12月号)

(ウェブ掲載 2021年12月31日)

旅行読売の人気連載を1冊にまとめた「旅する喫茶店」(定価1430円)はこちらからお買い求めいただけます。全国の書店、オンライン書店で好評発売中、お近くの読売新聞の販売店でも注文できます。


Writer

児島奈美 さん

神戸生まれ。学生時代にバイクで北海道、九州、信州を巡って旅に目覚め、約40か国渡航。1か月のキャンプ旅でも太って帰ってくる食いしん坊で、現在は、旅・グルメ・人物インタビューを中心に、ガイドブックや雑誌、Webなどの制作に携わる。「旅行読売」ではルポがメイン。鉄子や歴女の道も着々と歩む。

Related stories

関連記事

Related tours

この記事を見た人はこんなツアーを見ています