北政所ゆかりの地でご縁を結ぶ
豊国神社の唐門。伝説の大工と呼ばれた左甚五郎の彫刻が見もの
豊臣秀吉の正室、北政所(きたのまんどころ)ねねが亡くなってから今年で400年。菩提寺の高台寺では、遠忌(おんき)事業として「印で結ぶ絆めぐり」を、全国のゆかりの地で行っている。スタート地点で台紙をもらい、御朱印授与や見学の条件をクリアしてスタンプを揃えると、記念品が進呈されるラリー形式だ。京都市内4つのコースのうち、今回は東山をめぐる「京都東1」コースを紹介しよう。
豊臣秀吉を祀る豊国神社をスタート。国宝の唐門は伏見城の遺構と伝えられ、豊臣家の家紋や鯉の滝登りなど、左甚五郎による見事な彫刻が随所に施されている。その奥は神域になっており、拝殿、さらに奥に本殿、ねねを祀る貞照(さだてる)神社が建つ。秀吉とねねの夫婦仲が良かったことから、出世開運、良縁成就のご利益で知られる。秀吉ゆかりの品々を収蔵する宝物館では、桃山絵画の傑作「豊国祭礼図屏風」が見もの。
次は「えべっさん」こと、京都ゑびす神社へ。建仁寺建立にあたり、寺を守護する鎮守社として建てられた。建仁寺の開山、栄西(ようさい)禅師が恵比寿神を厚く信仰したことに由来する。商売繁盛、家運隆盛のご利益を求め、今も多くの参拝者が訪れる。
「祇園祭」で知られる八坂神社へ。秀吉は母・大政所(おおまんどころ)の病気平癒の立願(りつがん)が叶い、寄町(よりちょう)制度の制定や御旅所の統合など、祇園祭を支援したといわれる。国宝の本殿は日本最大級の神社本殿といわれ、本殿と拝殿を1つの屋根で覆った「祇園造」または「八坂造」と呼ばれる唯一の造り。東側の末社「美御前(うつくしごぜん)社」には、肌も心も美しくなるというご神水「美容水」が湧き出る。
最後は高台寺へ。幾度かの火災に遭い、現在は表門、観月台、開山堂、霊屋(おたまや)、茶室の傘亭と時雨亭(いずれも重要文化財)が残る。ねねと秀吉の坐像を安置する霊屋には、桃山時代の高台寺蒔絵が施され、絢爛とした雰囲気が漂う。偃月池(えんげつち)に架かる廊下の中央には、こけら葺きの観月台が設けられ、ここで月夜を楽しんだであろう、ねねの姿を偲ぶことができる。