紫式部の足跡と『源氏物語』を学ぶ旅
石山寺の本堂は、清水寺本堂の舞台と同じ「懸造(かけづくり)」
3月まで開催の「京の冬の旅」のテーマの1つが「紫式部と源氏物語」。そこで今回は『源氏物語』ゆかりの地を紹介しよう。
最終章「宇治十帖」の舞台にもなった宇治市には、『源氏物語』を学べる「宇治市源氏物語ミュージアム」がある。見どころは、平安の間にある寝殿造の復元模型だ。主人公・光源氏の邸宅「六条院」を再現したもので、まるで実在したかのように細部にこだわって造られている。また復元された牛車、屏風、燈台など平安貴族の乗り物や調度品を展示。図書室には、源氏物語関連をはじめ4500冊以上の蔵書があり、書籍やDVDなどの閲覧もできる。
京都御所の東に位置する廬山寺(ろざんじ)は、紫式部が生まれ育った邸宅跡に建つ。紫式部はこの邸宅で暮らし、『源氏物語』の大部分を執筆したという。本堂では『源氏物語』の「若紫」や「絵合」の場面を描いた掛け軸や、貝合わせを公開するほか、「京の冬の旅」期間中は与謝野晶子自筆の和歌集「源氏物語礼賛(らいさん)」が特別公開される。全54帖の情景を詠み込んだ和歌の連作で、源氏物語や紫式部に関する様々な研究論文を発表してきた与謝野晶子の大きな業績の一つ。平安朝の趣きを白砂と苔で表現した「源氏の庭」では、初夏から初秋に紫色の桔梗が花を咲かせる。
右京区にある清凉寺は、嵯峨天皇の皇子で、光源氏のモデルと伝わる源融(みなもとのとおる)の山荘跡であった。融の没後は棲霞寺(せいかじ)となり、その本堂にあたるのが清凉寺の阿弥陀堂だ。創建当初、阿弥陀堂の本尊として祀られていたのが阿弥陀三尊像。国宝のため現在は霊宝館に安置され、阿弥陀如来像は「光源氏移し顔」といわれる。霊宝館は春秋のみ特別公開。
京都市から少し足を延ばした滋賀県大津市の石山寺は、紫式部が参籠中、ここで構想を練り、『源氏物語』を執筆したと伝わる寺院。本堂東端には紫式部が籠って執筆したといわれる「源氏の間」があり、紫式部が執筆している様子が再現されている。
京都浪漫悠久の物語「源氏物語ゆかりの地を訪ねて~廬山寺・清凉寺・石山寺・夢浮橋之古蹟~」
2024年2月12日(月) よる8時~8時53分 BS11にて放送
京都画報「京のスイーツ」 出演:常盤貴子 2024年2月12日(月)よる7時~7時55分 ※内容は変更の場合あり
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(出典:「旅行読売」2024年3月号)
(Web掲載:2024年2月2日)